「子供の声は騒音ではない」わざわざ法律で定めることか?

「子どもの声は騒音ではない」

政府は、上記の件を法律で定めることも視野に検討に入ったという。政府関係者は「ドイツでは、法律で騒音の定義が『騒音(こどもを除く)』となっている。日本も一部の自治体で条例として定められているが、それをもっと広めていきたい」と述べたというが、そのようなこと、わざわざ法律で定めるべきことだろうか?

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「こんなくだらないことを条例で定めているのか」という事例も多いが、何でもかんでも、法律や条例で定めるという昨今の風潮に私は以前より違和感を覚えている。また、私は「どのようなことでも(例えば除夜の鐘は)騒音だ!」としてクレームを付けることもおかしいとは思う(また、少しくらいの子供の声を騒音だとして怒鳴るのも如何なものかとは思う)。

それはさておき、騒音とは何かを先ず考えなければならない。騒音とは辞典類などによれば「さわがしい音。耳にうるさく感じる音」「騒がしく、不快感を起こさせる音」のことを言う。どのような音が騒がしいか、それはその時の状況や個々人によって異なるのだ。つまり、騒音という概念は、極めて主観的な感覚を表現するものなのである。

よって、子供の声を「騒音だ」と感じる人もいれば、「騒音ではない」と思う人もいても良い。また、騒音か否かも、その人が置かれた状況によっても変化してくると言えよう。そうしたことを、御上(権力)が法律を制定して「子供の声は騒音ではない」と規定することは正しいことなのだろうか?

ネットなどを見ても賛否両論あるが、子供を育てている世代からでも否定論が散見された。「子供の声が騒音ではない」と法律で決まれば、例えば、静かにすべき空間でギャーギャー騒いでいる子供を「うるさい!」と注意することはダメになのだろうか。

「子どもの声は騒音ではない」ーそのようなことは法律で定めるまでもなく「常識」で判断すれば良いのではないか。一国の首相(岸田文雄首相)までが「子どもの声が騒音であるという声に対して、我々は改めて、考えを改めなければいけない。これこそ次元の異なる政策であると考えて、これからも政策を進めていきたい」と法律制定に前向きな現状は、私には嘆かわしいことに思えてならない。

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