「不支持政党」に注目すれば投票率は上がるかもしれない

4月9日投票の道府県議会議員選挙の投票率は全国平均で41.85%、4年前より2.17%下がって過去最低だった。25%の道府県議会議員は無投票で当選した。4月23日投票の後半戦について、NHKは「280の市議会議員選挙が44.26%、250の町村議会議員選挙が55.49%と、いずれも過去最低」と報じている。町村長選挙の56%、70町村で無投票当選だったそうだ。

投票率が低い、候補者がいないという状況が続くのは好ましくない。どうしたら投票率を上げられるだろうか。

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4月30日付で朝日新聞は「なぜ投票しないのか」を聞いた世論調査の結果を報じている。他の質問で投票に「ほとんど行かない」「行かないことの方が多い」と答えた回答者(計21%)にその理由を複数から選択してもらったところ、「投票したい政党や候補者がいない」が48%で他を引き離して多かったそうだ。

有効回答者の総数が1967名で、その21%のうち、48%が「投票したい政党や候補者がいない」と答えただけなので信頼性は低い。

しかし、これを見て感じたことがある。投票したい政党や候補者を選んで投票するように求めるから、投票率が上がらないのではないか! かつてのAKB総選挙や「グルメ総選挙」を謳うテレビ番組によって、多くの人々に「選挙=最善の選択」が刷り込まれてきた。

それでは、掲げる政策のすべてに同意できる政党が果たして存在するだろうか。最善な政党は存在するだろうか。ある政党の政策Aには同意するが、Bには賛同できない。別の政党の掲げる政策Cは支持できない。こうして×をつけていくと、どの政党にも投票できなくなる。

日常生活では店舗や商品について「次善」を選択する機会が多くある。政党や候補者も「次善」を選べばよいのだ。無党派ながら投票所に出向く人々は、実際「次善」を選択しているのだから。

中学校の教科書(帝国書院・公民)には「若者の投票率が低いと若者の意見が反映されにくくなる」と政治参加の重要性は書いてあるが、それではどうすべきかが書いていない。

もっとも好きな候補を選ぶ以外に、気に入らない点もあるが「まだまし」と選択するという方法もある。このように多様な選択方法があると子供のうちに教育すれば、中期的に投票率を向上できるだろう。

世論調査も支持政党を聞くのではなく、不支持政党を聞くようにしたらどうか。ついでにその理由も聞けば、なぜ不人気なのか政党も理解できる。それが政党改革のきっかけになるかもしれない。

憲法記念日にあたり、低投票率のトレンドを逆転させるように、大胆な発想転換を提案する。