LGBT法案の是非が話題となっている。それにも関連する話として、現在、再放送中の「あまちゃん」などのドラマ出演で知られる女優の橋本愛さんが、トランスジェンダー女性を巡る発言が「差別」と非難されて、Instagramで謝罪した事は記憶に新しい(2023年3月5日)。
では、彼女のどのような発言が「差別」と非難されたのか。
少し長くなるが、引用してみよう。
入浴施設や公共のトイレなど、そういった場所では体の性に合わせて区別する方がベターかなと思っています。もしかしたらLGBTQ +の方々にとっては我慢を強いられるような気持ちになるかもしれませんし、想像するととても胸が痛くなります。
けれど私は女性として、相手がどんな心の性であっても、会話してコミュニケーションを取れるわけでもない公共の施設で、身体が男性の方に入って来られたら、とても警戒してしまうし、それだけで恐怖心を抱いてしまうと思います。
そんな態度をとって傷つけたくもないですし、その制度を悪用した犯罪が発生することは絶対に阻止しなければならないと思います。この件に関しては、LGBTQ+の当事者の方々が自ら、特に女性にとってリスクが高いと声を上げてくださっているのをお見かけするので、その気持ちに深く感謝しています。
どうだろう? 橋本さんの発言は「トランス差別」「トランスジェンダーへのヘイト発言」だろうか?
私は全くそうは思わない。「公共の施設で、身体が男性の方に入って来られたら、とても警戒してしまう」というのは、女性として当然のことである。これを「差別」という人々の方が、女性の真っ当な感覚を蔑ろにしていると言えよう。
LGBT法案が成立すると「女性の心を持った男性が、女風呂に入ってくるようになる!大変だ!」という意見と「それはデマだ!」という意見の対立が最近見られる。
ここでは、それがデマか否かを云々しないが、橋本さんの発言を「差別だ!」と糾弾した多くの人々のその歪んだ感性が「法案が成立すると、女性の心を持った男性が、女風呂に入ってくるようになる」という見解を補強する事に一役買っているようにも思うのだ。
橋本さんの文章は「LGBTQ +の方々にとっては我慢を強いられるような気持ちになるかもしれませんし、想像するととても胸が痛くなります」に象徴されるように、性的少数者の人々の気持ちに寄り添う、思いやりに溢れたものである。そして、前述したように、女性としての真っ当な感覚を表明したものだ。
橋本さんが自らの発言を謝罪されている今、私が橋本さんを擁護する事自体、橋本さんにとっては迷惑な事かもしれない。しかし、橋本さんの主張された内容とそれに対する反発は、LGBTQ法案について考える際にも重要な論点を示していると思ったので、あえて述べてみた。
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