コロナが2類から5類感染症に:「マスクよ、さようなら」になるか?

チャールズ国王の戴冠式が6日にロンドンで行われます。70年ぶりです。要人の出席者は前回の8000人から2000人に減ると報じられていますが、70年前と比較する意味もあまりないような気がします。不人気のチャールズ国王ですが、それでも王室ファンはロンドンに集まり、たぶん一生で一度しか見られないこの戴冠式の空気を共にする幸福感に浸るのでしょう。日本ではそんな事よりゴールデンウィーク最後の盛り上がりに忙しいのかもしれませんが。

では今週のつぶやきをお送りします。

難しい北米での投資

一昨日、手持ちの2つの銘柄が明暗を分けました。1つは医薬品のボッシュ(自動車関連のドイツのボッシュとは別)。この会社の値動きは医薬品メーカーの中でも特に荒っぽいのですが、決算が事前予想より若干悪かったことを嫌気し18%下落しました。一方、IT大手のショッピファイはリストラ案で運輸事業を売却し、20%の従業員カットを発表したところ25%の株価上昇となりました。正直、これほど極端な値動きにならざるを得ないのが不思議なのです。つまり、情報が一方通行というか、投資家の行動のばらつきが無くなってしまったような感じすらあるのです。

何年も前、私はこのブログで北米は様々な投資家が参戦するのでがっぷり四つで株価の動きが極端にならないと申し上げたことがあります。事実、海外投資家は東証にクレームを入れ、日本の株価のボラティリティが高すぎるとし、主要銘柄の価格変動の刻みを細かくしました。今、市場で起きているのはとてつもない株価のゆらぎです。これが市場参加者の心理なのか、社会背景の変化なのか、じっくり考える必要があります。

乱高下する株価を見るにつけ、これはギャンブル化していないだろうか、と疑念を挟まざるを得ないのです。先般のFRBの政策決定を受けたパウエル氏の記者会見中、画面には株価指標が常に表示されるのですが、氏の発言一つひとつで株価が大きくブレるのです。人間業とは思えないのでプログラムがパウエル氏の言葉を読み取り、ネガティブ、ポジティブで自動売買しているのだろうと思いますが、昔の良きシンプルな株式投資の時代ではなくなったな、と投資歴38年の私は思わずため息が出てしまうのです。

コロナ終息宣言

日本では5月8日からコロナが2類から5類感染症になります。GWの報道を見ている限りマスクを取る人が増えたな、と思います。週明けからはいよいよ5類になるので「今更顔を出せない」という方々の最後の抵抗がいつまで続くのか気になります。梅雨から夏にかけて暑くなり「降参」をするのか、見ものであります。日本人論的にはあるきっかけで皆が同一行動をとるので、8日を境に一気に「マスクよ、さようなら」になるでしょうか?

AntonioGuillem/iStock

さて、テドロスWHO事務局長が新型コロナ緊急事態宣言の解除をしました。20年1月30日以来ですので3年3か月ぶりになります。この宣言は歴史的な意味を持つことになり、教科書にすら掲載されることになるでしょう。この3年間、我々は異次元の経験を積み重ねてきました。一生忘れることがないであろう2020年のあの街の光景、人は自宅から動けなくなり、政府は支援金をばら撒きます。レストランは持ち帰りとデリバリーの拠点と化しました。医療関係者たちは称えられるも、多くの人が亡くなりました。

お前はどうだったのか、と言われれば過去3年間、明白にコロナにかかった証拠はないです。何度か怪しい時はありましたが、簡易キットで出ないのです。つい2週間ほど前にも怪しい状態だったのですが、気力で跳ね返しました。まるで酒に酔ったようなくらくら感に「これはいかん」と外の空気を吸いに散歩に出たけれど体の温度調整が出来ず、汗だくで戻った時には貧血のような状態でしたが1時間後には汗と共に全部流れたような感じでした。今週、4度目のワクチン接種を受けた際「これが最後かもしれない」と妙な哀愁すら感じてしまったコロナの最終局面でありました。

転機を感じるウクライナ問題

コロナと共に想定外の長さになっているウクライナ問題についてはその休戦/停戦に関して一部ではまだ数年かかるとみる分析もあるようですが、感覚的に転機を迎えているように感じています。まず、戦争自体ですが、ロシアの民間軍事会社ワグネルのプリゴジン氏が弾薬不足を理由に要衝バフムトから撤退するとしたのはカナダの報道ではかなり衝撃的扱いとなっています。ウクライナによるロシアへのドローン攻撃らしき反撃が見られる一方、クレムリンへのドローン攻撃は自作自演の可能性も指摘されています。ウクライナ軍の猛反撃が近々実施されると予想される中、ロシア側は防戦から一気に押し返される可能性が出てきました。

その背景はプーチン氏の指導力と幹部の厭世観ではないかと思います。プリゴジン氏の発言はその一環であろうし、ロシア側が強力な戦略を打ち出せなくなり致命的状況ではないかと感じています。ただ、ウクライナ及び西側諸国は仮にロシア軍を押し返した場合、プーチン氏の奇行には十分気をつけるべきで極めて重要な局面に差し掛かっているとみています。

その場合、「戦争の力比べ」から外交的解決手段に戦略の重みを移すべきです。現状、外交的介入ができるのは習近平氏しかいないでしょう。トルコのエルドアン大統領は劣勢が伝えられる大統領選を間近に控えています。欧州首脳では和平に一番力を注ぐマクロン大統領がいますが、欧州首脳とぎくしゃく感が出ており、氏がまとめ役になるとは思えません。仮にロシアが敗退することになればプーチン氏は消えるわけでロシア国家の再興と賠償金問題を考えると国体の維持すら厳しくなる公算はあります。こちらも歴史的な展開を見せるような気がします。

後記
10年間一緒に働いたユダヤ人の不動産コンサルタント氏が会社設立40周年を祝ったパーティーに参加しました。もしかすると120名の参加者で私が一番若いのではないかと思うほど業界の重鎮が勢ぞろいし、アジア系は私と中国人2人だけでユダヤ色満載でした。彼と顧問弁護士と私の思いは「(私が十数年かけて完遂した)ベイショア開発は我々のライフワークだったなと。絶対に忘れることがないであろう金字塔のこの事業に携われたことに感謝、感謝です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月6日の記事より転載させていただきました。