朝日新聞が報じた元SEALDsのメンバーのインタビューが波紋を呼んでいます。SEALDsというのは2015年ころに安全保障関連法案に対抗して活動していた学生団体ですね。
活動は主にリベラル系メディアによって「若者の代表」「新しい学生運動」といった論調で取り上げられましたが、社会運動としては盛り上がることはなく、翌年には団体も解散しています。
【参考リンク】「隠したい」元SEALDsの過去
今回の記事は、当時盛り上げる側だった朝日新聞が、運動に対するネガティブな情報を紙面にしたことで話題となったようです。
ちなみに左派は「運動に対するマイナスイメージを広げるな!」という論調から、保守は「自分たちが持ち上げといて今さらさらすかね(苦笑)」というスタンスから批判的ですね。
左右両方から批判を集める記事って好き嫌いは別にして、なにかしらの本質はついているんじゃないでしょうかね。
というわけで、今回はSEALDsのような学生運動とキャリアについてまとめておきたいと思います。キャリアという観点から見て、それは本当に「隠さねばならない過去」なんでしょうか。
まったく話題にすらなっていなかったSEALDs
まず、SEALDsのような“学生運動”がキャリアに影響するかどうかは、当時から議論がありました。
「学生運動なんてやってたら就職に響くよ」とかゆうてるオッサンは無視しといていいと思うよ。普通のグローバル企業やったらSEALDsでバリバリと活動してるような学生とか争奪戦になるよね常識的に考えて
— 増田聡 (@smasuda) July 19, 2015
で、答え合わせ。
【参考リンク】「就職できませんでした」 争奪戦になるとは何だったのか…
他にも立憲民主党の下請け的企業であるブルージャパンという会社がメンバーの働き口確保のために作られたという話もありますね(まあ、ある意味持ち上げた責任とってるわけで立派とも言えますが)。
一応言っておくと、氷河期世代なんかと違い一貫して売り手市場でしたからね。すくなくともマトモな企業から“引く手あまた”ではなかったということでしょう。
じゃあ本当にあの運動はキャリアにとってマイナスだったかというと、筆者はそれにも違和感をおぼえています。
というのも、当時、企業の人事部門の人間と色々やり取りする中で、一度も「SEALDs」なんて言葉は出たことが無いから。
たぶん、名前くらいは聞いたことはあっても、実際にどういう主張で何をやっている団体なのかは知らない人の方が多かったんじゃないでしょうか。
なんていうと「twitterで盛り上がってたじゃないか!」なんて言う人もいるんですが、twitterなんて暇な人しか見ませんから(笑)
実際にキャリアに影響するかどうかは,人事の人間の温度差である程度分かるものなんですね。たとえば悪名高いスーパーフリー事件の時は、業種問わずあちこちで話題になってましたね。
「ねえ、スーパーフリー関係者って新卒エントリーにいた?うちはいなかったけど……」
「うちは1人いましたよ!あと提携してる〇〇っていうサークルの人間も〇人エントリーしてました」
みたいな話ってしょっちゅうしてましたね。
そういう熱さがまったく無いんですよSEALDsって。
だから筆者としては、SEALDsという肩書は、まあ少なくとも引く手あまたにはならないけれども、逆に「SEALDsやったせいで悪影響があった」という見方にも慎重です。
むしろそういう見方をすることで、彼らの本質が見えづらくなる気がしています。
とすると一つ疑問が残ります。なぜ彼らは就活でコケたのか。ちょっときつい言い方になるかもですが、単純に彼らが最初から「大学生が新卒カードを使って就活でトライするような企業」からは相手にされてなかったからでしょう。
まあみんな薄々気づいてはいたんでしょうけど、このことは、運動の世話人として深くコミットしてきた左派の識者自身も認めています。
SEALDsなどの政治・社会運動に東大生がほとんどいない件。いわゆる偏差値の高い学生ほど大学教育を投資と考えていて、リターンに結びつかない活動を無駄と切り捨てると解釈すれば、腑に落ちる。過日年配の人に今のエリート学生には社会の不正をただす正義感はないのかと問われて思いついた。
— 山口二郎 (@260yamaguchi) January 18, 2016
前置きは長かったですが、以上の点を踏まえると、ようやくSEALDsの本当の姿が見えてくると思います。
あの若者たちは、大衆やエリートからはまったく相手にされなくなった周回遅れの元・知識人たちが、かろうじて言いくるめられるレベルの人材だったのでしょう。
そして言いくるめられた彼らは、同じリベラルの用意したステージに押し上げられ、言われるがまま「元・知識人の理想の若者像」を演じさせられていたのでしょう。
かつての学生運動の主役だった東大をはじめとする有名校の学生や、第一線で働いているまともなビジネスパーソンには、そうした残酷な構図がはっきりと見えていたから、みんな冷めた目で見ていたんだと思います。
以降、
左派が次に創作するのは「あの若者たちは就職差別された。悪いのは企業」というファンタジー
企業が嫌がるのはこういうやらかし
Q:「9年越しに職場復帰したケースはどう思いますか?」
→A:「まあそれでいいんならいいんじゃないですかね」
Q:「頭脳労働のほとんどはAIに置き換えられる?」
→A:「90年代に起きた変革が数倍のスピードで起こるでしょう」
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