距離を置くべき「時間泥棒」の特徴

黒坂岳央です。

人の価値観は十人十色だが、ほとんどの人から嫌われる属性が「時間泥棒」である。

時間は人生における最大の価値資源であり、どれだけ大金を積んでも直接的に物理的な時間を買うことはできない(間接的には買えるが)。そしてお金は時間を使えば生み出すことができるため、論理的に「時間>お金」という構図を導き出すことができる。そしてすべての人は人生の使える時間に限りがあるため、ムダに時間を奪う人は嫌われてしまうのは不思議ではない。

今回は筆者の視点で時間泥棒の特徴を考察したい。

wildpixel/iStock

 

ゲームや映画、おしゃべりは時間泥棒ではない

最初に時間泥棒の定義をしたい。生産的ない行為が時間のムダではないということは最初に取り上げたい。たとえばゲーム、漫画、映画、他愛もないおしゃべり。これらすべては一見するとムダな時間に思える。なぜなら一切の経済的富を創出しないからだ。だが、重要なのはGDPではなく、あくまでこうした活動がその人自身にとって有意義かどうかである。

自分は上記にあげたすべての活動が好きだ。余暇時間はゲームや漫画をしたり、仲のいい人と目的のない会話も楽しいと感じる。だから時間泥棒的行為とは考えない。その一方で同じ行動でも楽しくない、面白くない場合は真逆の結果になる。

すなわち、まったく興味がないとかつまらないと思う作品を退屈を我慢して見たり、つまらないおしゃべりに突き合わされるのは時間泥棒にあたる。GDPはおろか、心身のストレス要因でしかないためである。つまりは何のメリットもない。

ただ、情報コンテンツと人の最大の違いは、損切りの有無にある。たとえば面白くない記事や動画、ゲームや漫画を掴んでしまったら、その瞬間に視聴をやめるという選択肢がある。だから時折、質の低いコンテンツに対して「時間を返せ」といっている人がいるが、適切な損切りの技術を持てばこのような不快感を回避できるだろう。

一方で、特に対面で人と会話をする時は簡単に切り上げることができない。早めに切り上げる技術はあっても、「あなたとの会話は時間のムダなのでやめよう。では」とはできない。人は取扱いが慎重にならざるをえないため、入り口で時間泥棒の兆候が見えたら速やかに撤退する戦略が求められると思うのだ。

時間泥棒になりがちな人の特徴

それでは定義が出来たところで、次に知らず知らずの内に時間泥棒になってしまっている人の特徴を取り上げたい。主にビジネスの労働生産性の観点という前提で読んでもらいたい。

まずは話が長く、ムダが多い人だ。本来はたった1回のやり取りでスムーズに済むはずなのに、質問が小出しなのでやたらと往復回数が多くなる。また、そのやり取りの中で新たな着想を得て、質問か相談か報告か目的が分からないテーマが飛び出したりして混乱する。さらに、結論を出す以外の贅肉的な横道にそれる話が多すぎるために、何が本題か分からず、本来は不要な確認作業を余儀なくれる。こういうコミュニケーションになると、ひたすら相手の貴重な時間を奪い続けるだろう。

そして自分発信で対面、電話でのコミュニケーションを求める人である。筆者の会社には未だに対面での飛び込み営業で「看板が見えたので挨拶に」とやってきたり、いきなり営業電話を鳴らして「いつ会えますか?」というケースがある。相手が対面や電話を求められて迷惑かどうかはお構いなしとなると、時間泥棒として嫌われてしまう可能性は高い。

最後に何でもかんでも相手に質問する人である。調べて分からないことを詳しい相手に尋ねるのは普通のことだが、「この字の読み方分かりますか?」といった3秒あれば答えがわかることを、相手に聞いてしまう人は時間泥棒として嫌われる。お互いに時間のムダでしかない上に、尋ねられた相手もウソを言ってはいけないと情報の裏取り作業に迫られる。

時間泥棒に付き合うと、恒久的に時間を奪い取られ続ける。時間はお金より価値が高い資源であるため、時間泥棒は嫌われる。だから自分が時間泥棒から距離を置くことは極めて重要であると同時に、自分自身が知らぬ間に誰かの時間泥棒になってしまわないよう注意する必要があるだろう。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。