黒坂岳央です。
YouTubeによるおすすめで流れてきた動画を見た。それは2007年5月、存命中のスティーブ・ジョブズ氏がD5 Conferenceで「ビジネスの成功に必要な要素」について語ったものである。成功に一番必要なこと、それは「Passion(情熱)」だというのだ。
このわずか1分少々の動画だったが、非常に学び多き話に感じたので本稿で取り上げたい。数多く投稿されているが、Steve Jobs passion in workで検索すると出てくるだろう。
挑戦は困難と苦しさに満ちている
ジョブズ氏は成功に情熱が必要な理由について次のように語った。挑戦とは長い時間をかけて忍耐強く持続的に努力する事が必要であり、情熱なき普通の人にそんなことはできないからだという。
昨今、挑戦する上での困難や壁、苦労を忌避されることが多いように思う。ビジネスを仕掛ける一部の事業者は、いかに消費者に挑戦を苦労なく簡単にできるように見せるかを競いあい、自社の商品やサービスを売りつけようとするように思える。
だが、いかなる挑戦には苦労や壁はあって当たり前と認めることが肝要である。なぜなら挑戦とは、これまで生きてきたコンフォートゾーンを抜けることになるからに他ならない。ダイエットでも、筋トレでも、英語学習でも何でもそうだが、これまでできなかったことをするという挑戦をする上で、一切の苦しさを抜きに達成することなど不可能に近い。とりわけビジネスの挑戦なら尚更この傾向は強まる。なぜならビジネスの挑戦には必ずライバルがいるから。
そしてジョブズ氏はこう続ける。情熱がない人は困難にぶつかると「好きでもないことのためになんでこんな苦労をするのか?と早々に放り出す」という。だから自ら選んだ挑戦を自分の手で道半ばで放り出してしまう。しかし情熱がある者は困難を乗り越えるまで諦めない、結果として成功を収める。
つまり、情熱こそが挑戦の壁を乗り越えさせてくれるのだ。そして情熱はお金で買うことはできない。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるが、「好き」というのは挑戦者を成功に導く最も価値の高い才能なのだ。
好きでなければ続かない
自分自身、好きでなければ続かないと思っている。やってみたが撤退したものを含めれば、これまでかなりの数のビジネスを試してきた。自分は仕事ができるとは思わないが、何事も継続することはどちらかといえば得意な方だと思っている。忍耐力や継続するための知識、技術は持っているが、そんな自分でも好きでないものは年単位で続けることは出来なかったと思う。
仕事を選ぶ上で「好待遇、好条件」を軸に考える人は少なくない。かくいう自分もそうであった。会社員時代は好きなことではなく、市場価値の高いスキルで挑戦できる道を選んだ。結果的に年収は平均より高かったし、ホワイト企業で比較的周囲の人にも恵まれていたと思う。だが全然パッとした結果を残すことが出来なかった。
学生時代から勉強していた時期をカウントすると、10年くらいその専門分野で努力した。しかし、自分は起業をきっかけに挑戦からかっこ悪く逃げ出したのだ。周囲からは「せっかくやってきたキャリアを捨てるのはもったいない」と言われたが、スパッと完全に捨てた。
起業後にやっている仕事の方が歴が浅いが、今やっている仕事は好きでやっているのでしぶとく続けている。だが起業してすぐ生活できるほど収益が得られたわけではない。途中でいくつもの壁や困難に直面しながら、しつこく年単位で続けていたらいつの間にか今があるという感覚に近い。
好きでなかったら何度か壁や困難にぶつかったタイミングで挫折していたかもしれない。いや、実際に撤退してしまったビジネスはあるのだから、今もやっている仕事は情熱があったから投げずに済んでいるだけに過ぎないのだ。
◇
件のインタビューから随分と月日が経過し、世界は大きく変わった。しかし、同氏の成功に必要な要素は今でも変わらず通用する本質的な直言に感じるのである。
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