2022年度の合計特殊出生率が17年ぶりに1.26になり、過去最低に並ぶ数字となりました。一時期、出生率がやや上向きになっていただけに関係者には衝撃の結果だろうと思います。本ブログでは少子化について時折、コメントさせて頂いております。なぜ、少子化になるのか、ずっと考えているのですが、私が今までご紹介していないもう一つの考えを皆さまとシェアさせてもらえればと思います。
それはユニセックス化。
欧米のファッション(モード)の世界では80年代後半から、日本では90年代から少しずつ進化していった男女兼用の服装をユニセックスファッションなどと称しました。ではなぜ、女性がより男性っぽく、男性がより女性っぽくなったのか、といえばこれはファッションだけが原因ではなく、社会がそう変わってきたことが背景です。日本に於いて女性の社会進出が目立ってきた一つの理由はバブル経済崩壊後、旦那の給与だけでは暮らして行けず、奥様は専業主婦からパートなりに出るようになったことに社会的きっかけを見ています。
その後、その母親の背中を見て育った女児が「女性は外で働くものだ」という意識が備わったことはありえます。一方、父親は厳しいリストラ、残業減などを通じて元気がなくなってきた中で男児はそれをみて社会に迎合し、クビにならないよう、より丁寧で丁重な姿勢になることが当たり前になります。私が31年間、日本を離れながらも年に数回、日本に来るたび変わりゆく日本に驚愕の思いをし続けたのです。
それはソース系男子から醤油系男子への変化であり、社会に抵抗せず、より従順に飼いならされていくのです。男子はその上で自己のアイデンティティを個人の時間において表現するようになります。それがファッションであり、近年では男性用化粧品の売り上げ急増です。もちろん、オタク系もその一派でしょう。
女子は「ワークマン女子」にみられるように、よりアクティブになり、社会活動への参加と女子の自立、覚醒がより進んだと考えています。
ところでLGBTに関して一般の方は「無縁な世界」と思う方がほとんどだと思います。しかし、あくまでも私の感性的に見ると男の場合、ストレートかゲイの択一問題ではないのです。その中間層が当然あるわけでそれを社会的にまだ認識していないように思えるのです。もちろん、これは社会学の範疇なので学者の研究を待たねばなりませんが、男女ともにストレートとゲイやレスビアンの枠組みにまんべんなく広がってきている、それが私の見る現代社会なのです。
つまりユニセックス化はファッションからスタートした言葉ですが、性という分野においてもユニセックス化が進んでおり、価値観や性の目覚めの変化が大きく進んでいると考えています。それが今日、LGBTが表立って議論されるようになったとも言えるのではないでしょうか?
少子化に関してはもう一つのキーワードであるパラサイトに関する記事を最近見かけました。パラサイト、つまり、子供がいつまでも親と同居しているケースですが、統計的にも中年のパラサイトシングルがどんどん増えていることが明白に表れています。最近の社会事件でも同居する結構いい歳の親と子の間の問題を時折耳にします。また親がパラサイトシングルを受け入れていることもあります。特に父親は娘がそばにいて欲しいという想いがあるし、母親と娘は結託しています。
パラサイトの原因は家賃や物価上昇、あるいはもらう賃金では一人暮らし出来ないという金銭的理由が表立って言われていますが、それは本質ではないとみています。要は親元は楽なのです。そして「社会人になったら独立するぞ」という意識が欠落しているのです。ここをほとんど誰も指摘していないと思います。
これらを考え合わせると男子が女子とデートするより男子が男子と戯れている方が楽しいし、その逆もしかり、となるのです。ジャニーズやAKB48のメンバーが恋愛に対して厳しい規制があったのを覚えていますか?なぜ、彼らが恋愛を禁じられていたか、それは商売という面もありますが、一種の芸術的な表現力でもあったと思うのです。日本の歴史において男色系の古典作品はかなり多いのです。それは日本の隠れた文化の一つでもあるのです。私の中では三島由紀夫には結構目を見張るものがあったと思います。
少子化の原因や対策など簡単なものではありません。究極的にはキリスト教カトリックなどのように教義として家族の意味(=family tree)を教え込むなどしないと難しい問題かもしれません。もちろん、お金をばら撒いても効果は十分ではないはずで、それはむしろ政治的理由による対策です。
ユニセックス化とは男女の区別が少なくなることですが、これが少しずつ浸透していくのでしょうか?それとも別のトレンドが生まれるのでしょうか?この変化がない限り、日本の少子化は専門家の予想をはるかに凌駕するペースで進んでいくとみています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月4日の記事より転載させていただきました。