始めるために必要なのは「やめる勇気」

好奇心が強いので、何かに興味を持つと、とりあえずやってみないと気が済まない性格です。また、1つのことを突き詰めることが苦手で、広く浅く何でも手を広げてしまう傾向があります。

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このような性格が災いして、何かを成し遂げたという経験がありません。なんでも、中途半端に食い散らかしてしまうのです。

今なお新しいことにチャレンジしたいと思っていますが、一方で自分の時間にも限界があることを強く感じています。

自分のやりたいことを全て手を広げてやっていては、時間がいくらあっても足りません。

最近は、仕事の時間をできるだけ減らして時間を捻出することを意識していますが、1日は24時間しかありませんから、それにも限界があります。

とすれば、何かを始めるためには、意識的に今やっていることの何かをやめなければいけません。「始める勇気」だけではなく、まず「やめる勇気」が必要ということです。

両手にモノを持っていて、何か別のモノを持ちたいと思ったら、今もっているモノを手放すしかないのです。

では、何をやって、何をやめるべきか?

それを知るためには、過去にとらわれることなく、ゼロベースで自分のやりたいことの優先順位を考えてみる。そして優先順位の低い事は、過去のしがらみにとらわれず、思い切ってリセットする。そんなプロセスが必要になるはずです。

人間関係も同じです。今まで知り合った人、すべてとこれからもコンタクトを続けていく事は、物理的に不可能です。新しい出会いがあれば、必然的に今までの人間関係を疎遠せざるをえません。

誰と付き合って誰と付き合わないべきか。冷酷なようですが、こちらもゼロベースで考える必要があります。人間関係の「やめる勇気」は、さらに精神的なハードルが高くなります。

それにしても、何かを始めるために、まず「やめる勇気」が必要だというのは何だか皮肉なことです。

しかし、年齢を重ねるごとに時間の制約が強まり「やめる勇気」の重要性は高まっていきます。

だから、何をやめるかは慎重に、でも迅速に決めなければならないのです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年6月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。