岩手県環境生活部若者女性協働推進室は、令和3年2月に「多様な性のあり方を尊重するための職員ガイドライン」を定めている。本ガイドラインは、冒頭において「多様な性のあり方について」として、LGBTとは何かなどの解説をしている。それは良いとして、私が最も異常と感じたのは「施設等を利用する様々な利用者に対するプライバシーの配慮」との項目である。
そこには「性別による区別のないトイレや更衣室を別に設置することも有効ですが、その利用のみを強要し、性自認に適合した施設の利用を認めないことは不快感を与える恐れがあります」として「(対応例)当事者が性自認に合ったトイレを利用することで、他の利用者から苦情が出る場合もあり得ます。様々な方が利用する施設であることを説明し、お互いに理解し配慮し合いましょう」との一文が見えるのだ。
つまり、これは、例えば、体は男・心は女性の人間(もしくはそれを装う人)が、女子トイレ又は女子更衣室に入ってきても、女性職員はその人間を嫌がったり、強硬に苦情を言ってはいけないということであろう。なぜか。「性自認に適合した施設の利用を認めないことは(LGBTの人に)不快感を与える恐れ」があるからというのだ。
「お互いに理解し配慮」して、時と場合によっては、女子トイレや女子更衣室を、体は男・心は女性の人間に使わせることを良しとしているのだ。しかし、これは一般女性を余りにも蔑ろにしたガイドラインであろう。女子トイレや女子更衣室に「女性です」と言って入ってくる体は男の人間(前述のように、もしかしたら、その人間はLGBTを装っている可能性もあろう)。その人間を女子更衣室などで見た一般女子の不安や恐れ、不快感というものを、LGBTの人々に過剰に配慮する余り、このガイドラインは度外視していると言えよう。
短絡的に勘違いして欲しくないのは、私は、LGBTの人々への差別心からこのような事を言っている訳ではない。本ガイドラインには他にも「窓口や電話対応における配慮」「自己の偏見や先入観に基づいた言動の点検」「各種制度の見直し」などの項目がある。まるで腫れ物に触るようではないか。現状でもそうなのに、これが、LGBT法が成立したらどうなるか。普通にしていたら、このような姿勢が更に強化されることは明らかである。暗澹たる想いにさせられる。