おはよう美術館。”マネ / ドガ”展@オルセー美術館。
すっごくいい!
二人は同世代(マネは早くに亡くなってしまったけれど)。揃ってパリジャンでブルジョワ。出会いは、ルーヴル美術館のベラスケス作品の前だったそう。
友人でありライヴァルであり、パリを愛した。そんな二人の関係や嗜好、交友関係がすごくよくわかるセノグラフィーで、とっても楽しい。
二人のベラスケスへのオマージュが並んでたり、ドガがカサットを描いた作品のそばに、マネのマラルメ肖像画があったり、若き二人のアカデミック画風作品を並べてあったり。
ピアノに向かうシュザンヌ・マネ夫人、2作品が並んでるのも、オツね~!
右がマネ、左がドガ。ドガの作品がカットされているのは、マネがカットされた部分を気に入らなかったから(と、山田五郎さんのYouTubeで説明されてた)。嬉しいなぁ、並べて見られて。
さらに楽しいのは、作品がカットされて憤慨したドガは、以前マネから贈られた静物画を返したそう。”ムッシュ、あなたのプラムを返します”と手紙を添えて。プラムと書いてあったけれど、本当はクルミだったそう。そのクルミ作品が、横に飾られてる。なるほど、見ようによってはプラムにも見える。
個人蔵。マネに戻された後、どういう運命を辿ったのかしらね。
マネ単体の展覧会としても、大充実!(ドガ、ダンス系がゼロ。上階で見てね、ということかしら。でも、マネのオランピアやバルコンは下まで降りてきてる。)
見られて嬉しかったのは、”ナナ”。多分、初めて絵の前に立ったと思う。よいお顔ね~。
よいお顔といえば、モリゾを描いた作品群も素晴らしい。特に、慕っていたマネからプレゼントされたスミレを持つ黒いドレスのお顔、嬉しさが滲み出てる。”黒い服を、喪ではなくパリのシックに昇華している”みたいな説明がついてた。なるほど、そうかも。でも、この嬉しそうな表情だから、悲しみと無縁に感じられるのだと思うな。
ポルトガルからやってきた”シャボン玉”も素敵。モデルは、シュザンヌの子供のレオン。バルコンにも出てるし、読書にも登場してる。黒の使い方は、マネとスーラージュに限る。
恒例、”どれかひとつもらえるなら”は、マネの”ロシュフォールの逃走”。遠くからすごいオーラ放ってきて、引き寄せられるように絵の前に立った。水面の色のなんときれいなこと。オール横の水飛沫の煌めきがなんと素晴らしいこと。構図、クリムトを彷彿させるね。
この作品を見るまでは、”ブーローニュの海辺で”がいいな、と思ってたけど、ロシュフォール見た瞬間に心を移す。
NYCのメトとのコラボ企画展。オルセーの後は大西洋を渡る。渡っちゃう前に、もう一度観にこよう。素晴らしい。というか、マネがすごい。
オランピアを筆頭に、マネが描いた何匹かの猫を見ていたら、ここに住んでいるボナールの白猫を見たくなり、ボナールコーナーへ。
あれれ、いない。聞けば、ぐ~んと伸びをする大好きな白猫ちゃんは、はるばるオーストラリアまで出張中だそう。仕方ないので、他のボナール猫たちを眺めて、またね、オルセー美術館。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2023年5月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。