死を意識して見えた3つの大事なこと

黒坂岳央です。

10代後半以降からずっと死について考え続け、関連する書籍を読み漁ってきた。こういうことを人前で言うと眉をひそめられてしまうのだが、個人的に死を意識して生きてきて良かったと思うことは少なくないと思っている。独断と偏見のみで個人的な見解を取り上げたい。

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1. どうでもいいことに囚われなくなる

「囚われる」という漢字には「人が箱に閉じ込められている」というイメージがある。とてもよくできた漢字だと、作成者の力量に感心させられる。文字通り、囚われるとは人が閉じ込められている状態を指している。そして往々にして、それは物理的に束縛されているのではなく、精神的意味合いで自縄自縛になっている状態が多い。

死を意識すると、小さなどうでもいいことに囚われることがバカバカしくなる。自分はたまに赤の他人から激しい中傷をされたり、大事な相手をこちらの落ち度でがっかりさせてしまったりと落ち込む瞬間がある。普段は気にならないことでも、どうしても気弱になるタイミングは誰しもあるだろう。

しかし、そんな時に自分を救ってくれる考え方がある。それは「一年後も自分はこのことで悩んでいるだろうか?」というものだ。99%の場合、そんなことはない。1年後はおろか、1ヶ月後、いや1週間後はもう忘れているだろう。この考え方にたどり着いたのは「死という終着点から現在地を逆算して思考する」ことから生まれている。

小さな課題でも解決が必要なことはもちろんあるし、軽視してはいけない問題も少なくない。だが、根本的に課題は解説済みであり、後は心の傷は時間の経過だけが癒やしてくれるという状況になったのならいつまでもウジウジ囚われずにスパッと忘れた方がいいのではないだろうか。

2. やりたいことは今すぐ

子供の頃、一番のお楽しみはいつも先送りにしていた。親からもらった「1日1つのおやつ」を自分のおやつボックスに放り込み、「いいことがあったらまとめて食べよう!」と楽しみをひたすら貯金していた時期があった。

しかし、自分の誕生日が到来し、いざそのタイミングがやってきてためていたお菓子を食べ始めてもそんなに幸福感はない。むしろ、甘いものが続くと胸焼けがする。幸福を一括で味わうことはできないと理解してもうやめた。

「気になるな。いつかあの店いってみよう」そんな感じで見送ってきた「いつかいってみよう」は多くの場合、店舗閉鎖や移転で永遠にかなわないまま消えてしまった。「機会があればまた会いに行こう」と思っていた人も引っ越しや連絡先の喪失などで永遠に会うことができなくなってしまった。

この世に永遠はない。お気に入りのお店や気の合う人も風のようにある日突然消えてしまう。これもチャンスや店舗の「死」と捉えることができるだろう。死を意識するとできる間にやっておこうと考える。

「老後の楽しみに」「時間ができたら」と先送りにしても、その気になればすぐ叶えられる手元のチャンスカードはいつの間にか消えてしまう。そしてそれはチャンスカードの死を意味する。だからやりたいことは今すぐやった方がいい。せっかくのお楽しみが消えるのは寂しいだろうか?いや何も問題はない。目の前のお楽しみを消化したら、きっと次のお楽しみが現れるだろうから。

3. お金との付き合い方が理解できた

昔はお金に囚われていた。お金がなかった時期が長く、お金がないことに苦しんでいたので「お金があれば幸せになれる」と思いこんでいた時期があった。しかし、今は考え方を改めた。

お金は価値交換券に過ぎない。交換券と商品、サービス、経験や思い出と変えて初めて意味がある。確かにお金でできることは多い。だが、すべてではない。良くも悪くも「お金は大事だが、人生のすべてではない。時間や健康の方が遥かに大事」という冷静な考えに至ったのは、死がそれを教えてくれたからだ。

せっかくプライベートを我慢して溜め込んだお金なのに、若い時間を犠牲にして溜め込んだお金を抱いたまま孤独に死を迎えた人たち。莫大にお金があるのに、お金の使い道がほとんどなく病苦と戦う日々を過ごす人たち。

お金が価値を帯びるのは、経験や商品、サービスを楽しんで使えるだけの時間と健康を有している人だけである。そして人生の後半に進むに連れて、残された時間も健康も少しずつ削られていくという必然がある。だから若い頃はお金がすべて、という生き方よりも限られた時間と健康を最高に活用してその時にできる楽しい時間を愛する人と過ごすことなのだと思っている。

やたらと死を忌避してしまうことで、今この時の瞬間の価値を見失ってしまうのではないだろうか。死とは時間の有限性であり、人生は有限だからこそ価値があるし輝くと思うのだ。

 

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