なぜ日本人は上司を襲撃しないのか?

谷本 真由美

日本では自衛官の方が射撃訓練中に死傷する痛ましい事件がありましたが、これは自衛隊だけではなく普通の職場でも異なる形で起こる可能性がある、ということは理解しておくべきです。

私の最新書籍である「世界のニュースを日本人は何も知らない4 – 前代未聞の事態に揺らぐ価値観」 でも指摘しましたが、外国人が日本人に対して非常に疑問に思うことに、 日本人はひどい就労環境でもなぜか上司や経営者を襲撃しないということがあります。

他の国は一般的に気性が激しい人が多いですから、 就労環境があまりにも酷いと夜暗いところで上司を待ち伏せして後ろから殴りつけたり、ひどい場合は銃撃してしまいます。

Zorica Nastasic/iStock

直接暴力を振るうのがヤバいなと思う人々は、職場でわざと仕事をやらないとか、欠陥品を大量に入れるとか、お客が怒るように仕向けるなどありとあらゆる工作を行って上司に復讐を果たします。

頭が良い人間ほど非常に複雑な工作をやりますから恐ろしいのです。

これは前線の歩兵が、士官を集団で殴りつけたり銃撃するようなことと似ています。

旧日本軍でも時折こういうことがあったようでありますが、現代の日本人というのは怒りのパワーがないのか、現場に簡単に満足してしまうのか分かりませんが、そのようなことはしないようなのです。

外国人が非常に不思議に思うのは、特に他の先進国の場合は、日本人と同じような仕事をしているのにはるかに良い就労環境で、人によっては給料を2倍から3倍もらっているのにも関わらず、日本人はその酷い環境と安い給料に耐えまくっているということです。

彼らはそこで日本人を可哀想とは思わないのです。

なぜ日本人が怒らないのか、怒るパワーすらないのか、それとも外のことを知らず自分がひどい扱いをされているということに気がつかないバカなのか、と思っているのです。

日本人は自分の給料が安かったり就労環境がひどいと、他の人にこんなにひどいと話して同情してもらいそれで満足してしまうのですが、それは他の国からすると全く理解が出来ないメンタリティということです。

しかし日本は入国管理法を改正しましたので、今後は外国人の人は職場にどっと増えます。

そうなった場合、海外の標準が当たり前になるということです。つまり酷い上司や職場は反撃されて当たり前、という時代がやってきます。日本人も怒るパワーを持つことが当たり前の時代になるでしょう。