素人ですがシンポジウムに呼ばれました
こちらです。
【参加者】(五十音順)
池田信夫 アゴラ研究所所長
掛谷英紀 筑波大学准教授
上昌広 医療ガバナンス研究所理事長
小島勢二 名古屋大学名誉教授
中村幸嗣 元自衛隊医官 危機管理血液内科医、笠間市石本病院院長
永江一石 マーケッター
新田剛 東京大学准教授
藤江成光 元国会議員秘書、ジャーナリスト、ユーチューバー
森田洋之 医師・医療経済ジャーナリスト、全国の有志医師の会会員
宮沢孝幸 京都大学准教授
家田堯 Think Vaccine運営者
というそうそうたる顔ぶれに1人混じる面白さ。
一般的に基礎医学の学者さんはまず理論があって、その理論にあう事象を探します。
わたしはマーケッターですので、スパイク蛋白とかそういう理論は専門家に任せ、発生している事象のみを解析します。
例えばコレ。
ダスキンのCMのきんさん、ぎんさんの時代は4150人しかいなかった100歳以上がいまや9万人。当時は100歳以上が珍しかったのでCMになったのだが、いまはもうこんなにいるのだ。
寿命がこの20年で男性が10歳以上伸びている。なんと90歳以上は200万人を軽く超えて2022年に生まれた新生児77万人よりはるかに多い。80歳以上の人口に至っては1235万人と、人口の1割だ。
コロナ禍の超過死亡は計算上、ほとんど90歳以上の人らしい。仮に日本が1950年代の人口構成なら、当時は80歳以上でさえ37万人しかいないので、ざっくり計算しても超過死亡なんて出るわけもないし、コロナ死者も数百人しかでなかったはず。少なくとも日本のコロナの超過死亡には超高齢化が恐ろしく影響している。
つまり日本の超過死亡は、20人に1人の90代の「伸びきった寿命」が半年〜1年縮まった程度のものではないのか。もともとごく最近だけで寿命が10年も伸びたのだから、20人に1人が10年ではなくて9年伸びただけになった、という程度が日本の超過死亡です。
そして登壇した「超過死亡はワクチンのせいではないか」というスタンスの小島先生の試算では超過死亡は60歳以下ではなんとマイナス。
つまり、「ワクチンで若い人たちも一杯死んだ」というのは完全に間違いで、60歳未満は助かった人のほうがずっと多かったことになります。
私が出したお医者さんたちが出さなかった資料
反ワクチンの方達の論拠はほとんどが「ワクチン接種と超過死亡の波が一致している」というものですが、こちらは反ワクチンの方達が広く使っているグラフ。
マーケティング的にいうと、新商品の登場時(感染拡大時)には同時に広告(ワイドショーの煽り)をたくさん打つので、当然ながら商品(ワクチン)は売れます。つまり感染初期とワクチン接種が同期するのはあたりまえで、そのあと連動するかどうかなのですが、全然連動してないですよね。
で、第8波は煽りまくってワクチンを高齢者が3月中旬から3ヶ月で150万人も打っていますが、第8波は思ったように来ず、一番右の4月の死亡者数が数日前に出ましたが「超過死亡は増えていない」とのこと。
Twitterで頂いたグラフですが黒い線が今年です。4月にはワクチン打っても打っても死者は減少。
要するにコロナの死者数と死亡者数は連動しているだけです。
が、これでも素人さんには分かりづらいのでわたしが出した相関図。
2022年の都道府県別のワクチン接種率と超過死亡率の相関です。
ワクチン打ってる方が超過死亡が少ないのが明確
特に沖縄は高齢者も3回目までは86.63%と全国平均の93%くらいの人が打ちましたが、5回目になるとこんなに差が開きました。
仮にワクチンを打って死者が増えるのであれば沖縄が一番超過死亡が少ないはずが、一番多いのですから少なくともワクチンは超過死亡には関係ないということが言えます。
ワクチンを打てば打つほど感染が広がる?
これも反ワクの皆さんがよくいうことですが、こちらの相関図を。
感染したことを示す抗N抗体の保持率がワクチンを打っている県の方が少ない。感染防止効果はなくなったわけではなくて少しはあったのかもしれないが、少なくとも打てば打つほど感染拡大する事象は日本には発生していないとはっきり言えます。
ワクチン打ってると感染しても抗N抗体ができにくいという話もあるので、累計の陽性者数で見てみると、
逆に相関が高まってしまった・・・・・謎
ただ、ここまで明確に相関があると、ほかの理由、たとえば「田舎の未接種者は怖いのでワクチン打ちまくる」とか「東北の高齢者は閉じこもりまくった」という仮説も成り立ちますので、ワクチンに感染防止効果があったと断定することはこの相関図では難しいのですが、
打てば打つほど感染拡大するという事象は発生していない
とは断言できます。
オミクロンに罹患したけどワクチン打った方がいいですか
これは動画の中に出てくる私が免疫学の専門家である東京大学准教授の新田剛氏と、ウイルスの専門家である京都大学准教授の宮沢孝幸氏の両氏に質問したのですが、お二人とも声を揃えて「自然感染したのであれば必要なし」とおっしゃいました。
そもそもいまのワクチンはXBBには対応しておらず、接種しても非常に弱い抗体しかできないことが分かっています。
オミクロン株XBB.1.5に対する治療薬と2価ワクチンの効果は?/東大
5回目にBA.4/5対応2価ワクチンを接種した人のXBB.1.5に対する中和活性は、従来株やBA.2に対する中和活性より著しく低下していたが、低いながらも中和活性を有していた。
著しく低下していたとあるのにそれでも「BA.4/5対応2価ワクチンによって免疫応答を改善できる」としているのが苦しいところですが、基礎疾患がある高齢者ならそれでも少しでもリスクを下げるために接種してもいいかもしれませんが、健康な人が接種する意味は・・・・と、わたしは思います。どうしてもというならXBB対応のワクチンが出るのを待つかですが、それまでに新しい株が出たらどうすんの、です。
そんなわけで、非常に長いですが面白いシンポジウムでした。私の発言は最後の方です。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2023年6月26日の記事より転載させていただきました。