防衛調達に対する適切な自衛隊OBの批判は必要

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内外価格差は最大5倍、日本の防衛産業再建に絶対必要なこと

内外価格差は最大5倍、日本の防衛産業再建に絶対必要なこと - ライブドアニュース
令和5年富士総合火力演習(陸上自衛隊のサイトより)わが国の防衛産業の課題とその対策「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律」(以下、

著者は横山恭三元空将補です。

わが国の防衛産業を儲かる産業に育成するためには、各企業の防衛部門を再編・統合して既存の資源を集約し、生産性を向上し、そして国際競争力を強化することだ。

および現行の防衛装備移転三原則を撤廃して、海外に防衛装備品を輸出することにより販路の拡大やコスト削減を図り、もって防衛企業の利益を増大することである。

わが国において防衛関連企業の防衛部門の再編・統合が進まない理由はいくつか考えられるが、一番大きなものは防衛専業メーカーでは経営的にやっていけない、ということだと思われる。

わが国の防衛産業を儲かる産業に育成するために、政府が指導力を発揮し、官民協力の下、各企業の防衛部門を再編・統合すること、防衛装備移転三原則を撤廃して、海外に防衛装備品を輸出できるようにすること、を筆者は願っている。

この記事ではぼくの東洋経済オンラインの記事も参照していただいております。こういう建設的なかつ現実的な批判や指摘をされる自衛隊OBがもっとおられるといいのですが。

本来内局にもっと防衛ビジネスに精通した人間を中途でもいいので相応のポジションで採用すべきです。

自民党の国防部会もオ○ニーのおかずのような都合のいい話を吹聴する人間の話ばかりきかないで、こういう現実的な分析ができる方を部会で呼ぶべきです。

また国防族を自認するのであれば海外の見本市などを積極的に視察すべきす。井の中の蛙のような自衛隊や国内防衛産業から聞いていることがいかにトンチキか分かるはずです。

それから空自の地方調達に問題があります。

ですが空幕長はそのようなことは絶対ない、適正に行われていると会見でぼくの質問に答えました。

ですが、現実を全くご存知ないようです。

空自の基地などでおこなわれている、部隊ごとのいわゆる地方調達ですが酷いものです。

以前もこれで空幕長が引責辞任。

空自官製談合、外薗航空幕僚長辞任のは納税者を謀る猿芝居

基地の外にあるOBが作った如何わしい会社と会計担当者がつるんで悪さをしています。

現場が要求している製品を排除して、「同等あるいはそれ以上」という仕様書に書かれた文言を悪用して、本来要求されている物品を取ることなく、粗悪品を納入する業者に入札させます。

以前もそれでパチもんの暗視装置や、アメリカ製だけ電光管がロシア製の粗悪な暗視装置を調達していました。

例えばESSの●●というゴーグルが現場から要求されていたとします。すると中国製の数分の一の粗悪品、あるいは●●ではなく、その下位のESSの製品を並行輸入業者などから仕入れて安い値段で落札されます。

真面目な業者がその製品を入札用に確保しても、入札できずに在庫になることも多々あり、正直者がバカを見る、構図になっています。このままでは空自の調達からまともな業者は撤退するでしょう。

こういうことは陸自や海自でも無いことはないですが、空自はものすごく多いです。おそらく経理担当者がグルになって利権を貪っている可能性があります。

これを空幕長が知らないのは怠慢としか言いようがありません。

今後具体的な例を調べて、空幕長会見で質して行こうと思います。またこういう相談を少なからず受けているので、会計監査院や財務省の主計科の防衛担当係に、具体的な事例を挙げて告発することを勧めています。監察本部は当てになりませんから。

【本日の市ヶ谷の噂】
「しらせ」搭載の大型ヘリコプター(CH-101)が殆稼働できず、ローターの付いた屑鉄化したが、その原因は海自のMCHも含めて川崎重工がライセンス生産という名の事実上組み立て生産しているが、よせばいいのに変な部品を国産化して規格を買えているので高価になってろくに調達できないことが原因、との噂。

南極観測支援のCH-101、整備できず1機だけに | FlyTeam ニュース
南極観測支援に使用される砕氷艦「しらせ」に搭載するCH-101ヘリコプターの整備予算が足らず、今年11月に南極へ出発する際には1機しか準備できないもようです。2012年6月22日の時事通信が報じていま...

■ 東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

陸自3人死傷の銃撃事件から見える装備の貧弱さ 有事になれば他国の軍隊の何倍も戦死者を出す

■ Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。

陸自の広帯域多目的無線機は使えない(上)

陸自の広帯域多目的無線機は使えない(下)


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年6月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。