大河ドラマ「鎌倉殿の13人」など配信停止に異議あり!

母親に対する自殺幇助容疑で逮捕された歌舞伎俳優の市川猿之助(本名・喜熨斗=きのし=孝彦)容疑者(47)が出演していたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年放送)などが、有料動画配信サービス「NHKオンデマンド」で、7月1日から配信停止になった。

同局関係者は「社会的な影響を鑑みての措置」と話しているようだが(猿之助容疑者出演 「鎌倉殿」「龍馬伝」など配信停止でNHKに苦情『スポニチ』6月30日)、私はこのNHKの決断に対しては異議がある。

先ず、市川猿之助氏は「鎌倉殿の13人」においては、鎌倉時代初期の僧侶・文覚役で出演していた訳だが、主役でも脇役でもない。強烈な印象を視聴者に残したとは言え、稀に登場する「ちょい役」だ。

「龍馬伝」(2010年放送)においては、主人公・坂本龍馬を暗殺する今井信郎役で出演していたが、最終回のみの出演だったが、こちらも全話配信停止となった。龍馬を暗殺する重要な役回りとは言え、こちらも「ちょい役」と言って良いだろう。

百歩譲って主役級の出演ならば、配信停止も仕方ないのかもしれないが、そう言う訳ではない。「オムニバス形式のドラマと違い、大河は全ての物語がつながっている。一部の回だけを停止することはできない」(猿之助容疑者 NHKが出演作配信停止『スポニチ』6月29日)との見解もあるが、例えば「鎌倉殿の13人」においては、文覚の出演部分のみをカットして配信する事もできるはずである。

それより何より、市川猿之助氏は現在、まだ「容疑者」だ。容疑者の段階で、出演番組を配信停止にまでしてしまうのは、やり過ぎではないだろうか。

仮に刑が確定したとしても、私は配信停止には反対だ。NHKオンデマンドはネット上の有料動画配信サービスなのだから、観たくない人は観なくても良いシステムになっているだろう。「作品自体に罪はない」という事は、今回に限らず、こうした出来事があった際によく語られる言葉だ。昨今の配信を巡る環境を考慮し、柔軟に対応することこそ、NHKに限らず、今後は必要なのではないか。