1. イノベーション大国たるために
何といっても、イノベーション(=新しい価値、そのための技術革新)を生み出す人材を創出できる国となる必要がある。
日本が明治維新後急速に近代化できたのも、敗戦後、急速な経済成長を遂げることができたのも、平均的な日本人の教育水準が極めて高く、「工業化」が成長の鍵だった時代にふさわしい人材が豊富に存在したからだ。
翻って、AIにより、今後10年で現在ある職業の半分はなくなると言われる現在、未来に必要な人材は、全く別の要素が要求される。
それは、自ら課題を発見し、課題を解決するために様々な技術を駆使すること、様々な多様な人材と連携することができる能力である。「生成AIと同様のタスクをする」のではなく、「生成AIを使いこなす人材」ということである。「リスクをとって挑戦する」環境や文化にも欠けている(失敗に厳しく、リスク忌避の強い社会)。
2. 理工系人材を増加させる政策
短期スパンと長期スパンの話があるが、まず短期スパンの課題についていえば、日本には理工系人材が少なすぎる(OECD諸国で最低の17%)。
デジタルをはじめとする新技術を活用・協調して新たな価値を生み出せるような高度人材が求められるのに、現状、定型的タスク領域に人材が集中しており将来のミスマッチはより深刻になる。このため、まず、短期的には理系人材を急増させる必要がある。
AIの時代の「読み・書き・そろばん」=「数理・データサイエンス・AI」
(1) 大学の理工系転換支援、高専の再評価・高度化
(2)博士人材、若手研究者、女性研究者支援
博士人材こそイノベーションをおこせる人材。PhDは複雑な課題を見つけて解決することができる人。その証拠に、ベンチャーこそ博士人材割合が圧倒的に多い。また、博士人材が多い国ほどGDPが高い。もっと博士号取得を促し、産業界に博士人材活用を促す施策が必要。
3. 大学からでは遅い
高校生、もっといえば幼児教育から変えていく必要がある。
→3歳からの幼児教育を義務教育に! 理系吹きこぼれ人材を飛び級に!
大学の理工科の入学定員を増やしても、そこにいきたい子どもが増えないとだめ。
(1)SSH(スーパーサイエンスハイスクール)
次世代科学技術チャレンジプログラム(滅茶苦茶優秀な子達を選抜。1年通じて課外活動。)
(2)初等中等段階からのSTEAM教育
STEAM教育:幼児期から、ものづくり体験や科学的な実験の体験の充実、観察、実験の重視:10年に1回改訂の学習指導要領「観察、実験を重視する。」
(3)「吹きこぼれ」上等!
オールラウンダーが求められているわけではない。特に早期に理系において才能を見せる子供たちは吹きこぼれ上等で、理系分野についてはどんどん飛び級させて才能を伸ばす教育の道を拓くべし。
(4)リケジョを増やせ
人口の半分は女性。「女の子は数学が苦手」「理系なら医学部か薬学部」みたいな偏見から解放する。
(5)幼児期からのシチズンシップ教育
「こども会議」「サークルタイム」幼児教育の義務教育化?0〜2歳の教育環境も重要。
(6)アントレプレナーシップ教育
高校、大学のアントレプレナーシップ教育を活発化させる。
(7)上記全てを満たす、公教育の質を上げよ。
そのためにこそ国家予算と人材を投入するべきだ。今、勝つことではなく、10年かけて日本を立て直す、そういうつもりで国造りをするべきだ。
4. サイエンスやモノづくりが身近にある環境
3Dプリンターが図書館にあるか。図書館、市民センターなど、市民に身近な場所に3Dプリンターやプログラミング対応可能パソコンなど、ものづくりやプログラミングなどを身近にしていく。
編集部より:このブログは参議院議員、松川るい氏(自由民主党、大阪選挙区)の公式ブログ2023年7月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、「松川るいが行く!」をご覧ください。