1. 日本の品目別輸出額の推移
前回は、相手国別に見た貿易額の変化についてご紹介しました。近年では既に日本最大の貿易相手国は、アメリカではなく中国になっているようです。
今回は、財務省の貿易統計より、品目別の貿易額について共有したいと思います。
まずは輸出から見ていきましょう。
図1が日本の輸出のうち品目別の推移です。
全体的にアップダウンしつつ緩やかな増加傾向が続いていますが、規模感で見ると3つのグループに分かれているように見えます。
最も大きいのが、輸送用機器(青)、一般機械(赤)、電気機器(黄)ですね。
リーマンショックで急減してから少しずつ増えていて、コロナ禍で下がってまた増えつつある様子もわかります。2022年ではそれぞれ18~19兆円の期のようです。
2つ目のグループが、原料別製品、化学製品、その他です。
完成品というよりも原材料や部品といったものですね。2022年では12~14兆円規模です。
3つめのグループは、鉱物性燃料、原料品、食料品です。
それぞれ2兆円程度の規模で、他の品目と比べるとかなり規模が小さいようです。
図2が概況品名別の輸出額の推移です。
図1は報道発表品目名という区分になり、より大きな区分方法ですが、概況品名別だとより具体的な区分となります。
規模の大きなものだけ抜粋してみました。
概況品名別だと、やはり圧倒的なのは自動車です。アップダウンしていますが、10兆円前後の規模があるようです。自動車の部分品も4兆円程度に達していますので、合わせて15兆円ほどの規模となります。
輸出全体で100兆円前後となりますので、15~20%程度は自動車関係という事になりそうですね。
その他の項目は横ばい傾向ですが、半導体製造装置(赤)の増加傾向が大きいようで、4兆円規模に達しています。
2. 日本の品目別輸入額の推移
続いて、品目別の輸入額についても眺めてみましょう。
図3が品目別の輸入の推移です。
輸出とは傾向がまるで異なります。
なんといっても、アップダウンが大きいながらも鉱物性燃料の存在感が大きいです。2000年代から10~30兆円の幅でアップダウンしているようですが、2022年には30兆円を超えています。
また、輸出と異なり、輸入は全体的に増加傾向です。海外の方がインフレが続いているため、値上がりによる貿易額の増加という側面も大きいのかもしれません。
電気機器が18兆円程度で規模が大きく、化学製品、原材料別製品などが続きます。
輸送用機器は3兆円程度で最も規模が小さいというのも特徴的ですね。
3. シェアで見る輸出と輸入
最後に、2022年の品目別シェアを見てみましょう。
図4が2022年の輸出(上)と輸入(下)についての品目別シェアです。
やはり原材料に近いものほど輸入の方が多く、加工製品ほど輸出の方が多い印象ですね。
品目名 | 輸出シェア [%] | 輸入シェア [%] |
---|---|---|
1. 食料品 | 1.1 | 9.5 |
2. 原料品 | 1.6 | 8.1 |
3. 鉱物性燃料 | 2.2 | 33.5 |
4. 化学製品 | 11.8 | 13.3 |
5. 原料別製品 | 11.8 | 10.3 |
6. 一般機械 | 18.9 | 9.3 |
7. 電気機器 | 17.3 | 17.3 |
8. 輸送用機器 | 19.1 | 3.4 |
9. その他 | 14.3 | 13.5 |
電気機器の輸入額が大きいのは意外な傾向と言えそうです。中国などからの電化製品の輸入が多いという事なのかもしれませんね。
日本は輸入も輸出も増加傾向ながら、その度合いは他国に比べると緩やかです。
自動車産業は海外生産が進んではいますが、国内生産からの輸出も一定規模維持されていて、更に輸出の中では大きな存在感を示している事もよくわかりました。
今後、自動車産業の変化も含め、この貿易の傾向に変化があるのか、引き続き注目していきたいと思います。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年7月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。