パリ国立オペラ座バレエ「ザ・ダンテ・プロジェクト」ウェイン・マクレガー。第一配役、再び。
第二配役見た時、やっぱり初日のスモーク量は異常だったと確認。ダンサーの顔見える状態でジェルマンをちゃんと見ておきたい、とガルニエへ。
結構ギリギリなタイミングでバスに乗ったら、まさかの工事迂回(パリなので”まさか”でもないけど)&渋滞。慌ててメトロに飛び乗って、ギリギリ着席。ふぅ。
ジェルマンは、姿自体が美しいので、それだけで目に心地よい。ただ、ここ来る前に、ロイヤル・バレエのDVDで、この作品のクリエーションダンサー、エドワード・ワトソンの圧巻の踊りを見ていたので、比べちゃったかも。ワトソン、表情はもちろんのこと、肩から腕の動きがすごかった。ちょっとゴムみたいというかぐい~ん&ぐにゃ〜んと伸びる感じで。
とはいえ、ジェルマンも悪くない。パドドゥのぐらつきは、がんばれエトワール。
ギヨームも文句なし。ジェレミー=ルーの役、パブロがやればよかったのに。逆に、パブロの役はジェレミー=ルーで。パブロ、パドドゥはいまひとつ光らないし、こういうソロは、お利口さんジェレミー=ルーよりパブロの方が合ってて求心力もあると思う。ユゴ・ヴィリオッティ、今夜も見事。キレとコケットが混ざり合い演技も入ってくるようなこの手の踊り、彼は本当にいい。2月のバランシンで気に入ってたアレクサンダーも発見(初日はスモークの中で霞んでた)。やっぱりいいな、この嬉しそうな感じ。
”ユゴやアレクサンダーは、目というより心を楽しませてくれるね”と友人。全くもってその通り。上手くないけど心惹かれる。
女子は、ブルーエンが今日も素敵。ハナもよいけど、DVDでサラ・ラム見た直後なので・・。彼女のシャープな動きは、まろやかさが必要なベアトリーチェよりサタンの方が合ってる気がする。ロイヤルはこの役、金子扶生がやってて、映像でも素晴らしさが伝わってきた。
3回目になると流石に作品のいろんなことが分かってきて、ダンサーたちもまとまってきてるし、今夜が一番没頭して楽しめる。タシタ・ディーンのヴィジュアル効果や照明効果も素敵だし、いい作品だなぁ。
アデスの音楽&指揮は今夜も素晴らしく、ついついアデスを見ちゃう。オケも必死。やればちゃんといい感じに表現できるのに、やっぱり指揮者次第なのでしょうね。
昨秋、ミラノで振っているのを観た「ザ・テンペスト」も音楽(演出も)素晴らしかったし、アデス、すっかりファン。
アデスの現代音楽に聴き惚れながら、100年前に、マーラーやシュトラウスが振った自曲演奏会の観客も、こんな感じで楽しんだのだろうなぁ、と想像。あぁ、想像するとくらっとする。
アデスに一番大きな拍手とブラヴォー!しながら、「ザ・ダンテ・プロジェクト」満喫(この作品、振り付けよりも音楽が中心で、ストーリー語ってると思う。美術→音楽→振付の順で創作が行われた、と聞いたけど、納得)。クリエーションで心からよいと思う作品、ほんと、いつぶりかしら(笑)。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2023年5月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。