強烈な人口減少に向かう日本

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出生率の成果が現れるのは20年後

日本の少子高齢化について事態は非常に深刻な様相を呈している。少子化を防ぎ人口増加を狙った政府のこれまでの対策はまったく功を奏していないのが現状である。

事態の深刻さは、仮に出生率が来年2024年から令和の希望出生率1.8に達成したとしても、その成果が実際に現れるのは少なくとも20年先である。即ち、出生したこどもが成人になり生産年齢人口に加えられるようになるのに20年は待たねばならないからだ。しかし、現実にはこの希望出生率の達成はいつになるのか現状では不明だ。

2040年には社会保障制度は崩壊する

ということは、2040年の生産年齢人口(15歳から64歳)5978万人。同年の65歳以上の人口3,921万人という推測は現実化するということである。

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即ち、一人の高齢者を支えるのに1.5人の生産年齢人口が年金を含めた社会保障給付費を負担することになる。この実現は現実には不可能である。と同時に深刻な労働力の不足に陥ることになる。社会保障制度の崩壊と労働人口の不足という問題が一挙に爆発することになるのだ。それがこの先17年後には起きるということなのである。

しかも、これからも政府の負債はさらに膨らんで行く。そして実質GDPは良く行ったとしても1%を満たすか満たさないかという範囲でしかない。2%以下の成長率では毎年の物価上昇などを考慮すると成長率0とほぼ同じである。

人口が増えている地方自治体は1割

全国に1800ある自治体の中には人口が増加している自治体もある。しかし、それは残念ながら僅か1割強の250の自治体でしかない。残り9割の自治体では人口は減少している(「人口増加をし続ける自治体の根底にあるもの」より )。

人口が増加している自治体で共通しているのは出産から高校まで医療費の負担免除、保育料の免除や教育費の支援、子育てにかかる諸経費の無料化、出産祝い金の提供など。子供を産み養育する負担を自治体が軽減するということに焦点が置かれている。こうすることによって女性は子育てと仕事の両立がやり易くなるということだ。

これも地方の自治体だと比較的容易となるが、国でそれを負担し実行して行くとなると、巨額の負債を抱えている政府にとって事態は容易ではない。

政治家の失策や怠慢を裁く法廷がない

特に少子化の始まりは第2ベビーブームが終わった1975年から始まっている。それ以後、出生率が回復することはなく、毎年減少して行くのである。1990年代からこの問題について政治家は真剣に将来への危機に備えて対策を打って行くべきであった。ところが、日本の政治家は問題の解決は常に先に見送るのが得意な集団であるが故に現在まで真剣にこの問題に取り組んで来なかった。そして今、国民の間でもこれから17年先の2040年頃に深刻な危機を背負うことになると気づき始めている。

政治家の問題解決への怠慢や失策について犯罪者を裁くような裁判所が存在しない。唯一、その過失を裁けるのは選挙で、当人を落選させらればよいのである。が、現実にはそれは起きていない。そして有権者が有能な政治家を選らばなったツケがこれから先も付きまとうようになるのである。日本には暗い未来が迫っているというのが実情である。