日産自動車に復活はあるか?:世界戦略だったリーフはダサいの一言

今週の一般ニュースもビッグモーターの文字が躍っていました。「不正のデパート」は掘り返せば何でも出てくるということなのでしょう。店前の街路樹を枯らせて店を目立たせようとする話に至っては小学生並みの発想です。そのオーナー氏、軽井沢に大豪邸を建築中とか。果たして、完成するのか、完成しても入居することができるのか、私の頭には大きな疑問符が音符のようにつながっています。

では今週のつぶやきをお送りします。

非常にすっきりした中銀ウィーク

日米欧の中銀の政策決定会合が週央から後半に開催されました。ほぼ全て想定通りに収まりました。まず、アメリカFOMCですが、パウエル氏の記者会見は毎回欠かさず見ていますが、今回はあくびが出ました。理由は記者の様々な質問に判を押したような回答、データドリブン(データ次第)で先は分からない、を繰り返したからです。わかりやすく一言でいうと金利上昇局面において当初は出遅れ感からまっすぐ加速しながら上昇しました。春からはランディングを意識し、6月からは最終調整期になった、よって今はフォワードガイダンスもないということです。

これは欧州中央銀行も同じで今回0.25%引き上げましたが、ドイツの4-6月GDPはゼロ成長で3四半期プラスになりません。インフレ率はドイツ、フランスなど低下継続、スペインは2.1%水準で十分下がってきています。サービス価格の上昇が欧米のネックでありましたが、ブルームバーグで算出する6月のサービス業指数は5月と同じになり、前年比でも確実に鎮静化が見られます。よって今年後半は想定外の異変がない限り金利は維持で来年あたりから引き下げタイミングが意識されるとみています。

市場が今週最も注目した日銀の政策会合は日本の専門家の事前予想であった「現状維持」が覆され、YCCの振れ幅拡大を行いました。欧米では最後の利上げの気配濃厚となる中、今、金融政策正常化をしないとタイミングを逃すことが植田総裁の背中を押したのだろうと思います。植田氏はハト派というか相当慎重な性格なので、ゆっくりと歩を進め、経済が現状を維持できれば来年春にはゼロ金利政策を撤廃する方向でしょう。シナリオははっきり見えたのでトレーダーもゆっくり夏休みを取れるでしょう。

日産自動車に復活はあるか?

初めて運転した車はブルーバード、初めて買った車はマーチ、父親が最後に乗っていたのがセドリック、今は12年も乗っているGTR。会社に入って2年目から4年目は日産の関東地区全工場の工事担当で栃木工場のテストコースの工事に携わったこともあり、特別に工場の方に乗せてもらい走ったこともあります。特別の思いがある日産ですが、1999年から繋がっていたルノーの足かせが切れ、対等関係になりました。ファンとしては素直に良かったね、と申し上げます。

では日産自動車に復活はあるか、と言われると客観的にみて楽観視できません。アメリカの収益が回復していると言われますが、それまでの「値引きの日産」がコロナ特需で定価で飛ぶように売れただけの話です。一方、中国戦略では日本車トップを走り、中国人のハートを虜にしたとまで言われたのは昔話で今や販売台数はピークの1/3とされます。ルノーとのごたごたが長かったこともありますが、日産からの人材流出がさらに問題です。結局内田誠CEOに全権集中になりましたが、彼は得手と不得手があります。経営はできるけれど、クルマに関するセンスは高いとは思わないのです。

世界戦略するはずだったリーフを時折見かけますが、ダサいの一言。どこのメーカーもBOLDで力強さを強調します。独特のヘッドライトのデザインをCMのセリフに使うヒュンデなど、とにかく目立つクルマが圧倒しています。コロナまで売れまくったローグ(エクストレイル)もモデルチェンジしてからガクッとダメになりました。押し出す車が欲しいのだけどかつてプアマンズポルシェと揶揄されたフェアレディZを今更モデルチェンジされても違うんじゃないかなと思うのです。三菱のアウトランダーが北米で売れているのがなぜなのか考えればそのあたりは一目瞭然のはずだと思うのですが、まぁ、頑張ってもらいたいものです。

日産リーフ 同社HPより

維新、馬場代表の「第2自民」発言

産経が「馬場伸幸代表が自らの党を『第2自民党』と評したことが波紋を呼んでいる」と報じています。馬場氏は「保守の二大政党化という意味合いで、理解をいただきやすいように申し上げた」と弁明しています。もちろん立憲あたりはワンワン吠えていますが、個人的には「第二自民党」という表現は稚拙ながらも言わんとする趣旨は正しいと思うし、維新をもっと押してみたいというスタンスがより強まるかもしれません。

私は以前から維新のターゲットは政党としての自民党であり、与党の自民ではないと思っています。立憲の泉代表は維新を野党だと思っているから馬場氏の意図することが理解できないのです。日本の政治を自民という巨大組織 対 野合集団と捉える時代は終わりつつあります。その変化を泉氏が嗅ぎ取れない鈍感なのです。欧州やイスラエルなどを見ると政党が右から左にずらりと並び、総選挙で第一党を取っても単独過半数を取れるケースは少ないのです。よってラインアップする他党の誰と手を結ぶか、連立と政治的妥結が重要な意味合いとなります。イタリアなど好例でしょう。

その点からは維新の将来戦略には選択肢がありそうです。1つは自民と連立を組み与党となる、2つ目は公明を引きはがす、3つめは自民の分裂を誘発し、馬場氏の言う第二自民、ないし第二の保守政党となることです。馬場氏には1つ目の選択肢は本望ではないと思います。私は以前このブログで自民を分割せよ、と意見しました。自民は新陳代謝が出来なくなっており、検討に次ぐ検討で政策的立ち遅れが目立っています。これを解消しない限り、日本が東アジアの雄になれないでしょう。その為にも自民党に強力な対抗馬ができることは自民の背中を押すことにもつながると考えています。

後記
バンクーバーの風物詩、花火大会が3日間開催されていますが、今年はその存在を危うく忘れるところでした。事実、メディアカバレッジも少ないし、ラジオでも何も報じません。娯楽が少ない時はそれで人寄せパンダでしたが、今の時代「わざわざ行く?」という感じなのでしょう。私も2-3年に一度ぐらい見に行く程度です。昨年はコロナ明けで人手は何処も大変でしたが、今年はイベント系の集客もやや落ち着いている感じがします。人々の興味は再度、ばらつき始めているのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月29日の記事より転載させていただきました。