ネット上で面白いデータを発見しました。ツイッターのKou-san(@koheinomad)というアカウントの方が、賃貸物件の売買データを利回り換算してランキングしたものです。
六本木の最低利回り物件は、賃料を物件販売価格で割った表面賃貸利回りが1%台半ばと海外の主要都市並みまで下がっています。
このような投資用物件は、賃貸したまま売買します。オーナーチェンジと呼ばれる取引です。
賃借人はそのまま住み続け、家賃も変わりませんが、オーナーだけが売買によって変わる仕組みです。
この表の数字が正しいとすると、物件価格の上昇に伴い、トップ3を独占しているパークコート六本木の家賃は、非常に割安になっていることがわかります。
立地はそれなりで築年数は古いものの、港区のマンションが70平米で月約30万円で賃貸できるのは破格です。
これは現状の実勢家賃を反映したものではなく、物件価格が上昇する前に賃貸借契約を結び、その時の家賃がそのまま引き継がれているものと思われます。
マンションの賃貸物件の契約は、普通賃貸借と定期借家契約と呼ばれる特別な賃貸借契約に分かれます。
普通賃貸借の場合は賃借人の権利が強く、家賃を引き上げる事は難しくなります。しかし、定期借家契約の場合、更新のたびに賃貸人が自由に家賃を変更することが可能です。
とすると、今後定期借家物件の賃貸借契約は更新され新しい賃料になれば、家賃は上昇することが予想されます。
家賃は不動産価格に比べ遅行性があります。物件価格上昇を追いかける形で、これから徐々に上昇していくことになりそうです。
東京の都心部は、物件価格が高騰して、マイホーム購入ができないだけではなく、賃貸物件を借りようとしても、家賃が高すぎて住めなくなる。そんなフェーズに入りつつあるということです。
狭くて高い都心から離れ、利便性を犠牲にしても、広くて住環境の良い住宅を求める動きが高まりそうです。
もはや、東京都心部は普通のファミリー層が住む場所ではなくなってしまったのかもしれません。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年8月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。