続く政治家の不祥事と岸田氏の不人気:小粒である点は否めない自民党幹部

ハワイ、マウイ島のラハイナの街が焼け消えてしまいました。原因は少雨高温化と同地の地形的特性で風が山から海に吹き降ろすことで被害が広がったとのことでした。ハワイに限らず今年も世界各地で山火事は発生しており、カナダも400か所ぐらいで燃えています。消火活動が追い付かないし、キリがない状態です。一方、少雨で大バンクーバー地区は第二次取水制限となっていてスプリンクラーなどの使用が禁止されており地面はカラカラ。自然豊かなバンクーバーの環境もこれでは干上がってしまいやしないかと心配です。

では今週のつぶやきをお送りします。

原油高が水を差す景気回復

原油の価格が着実に上昇しています。チャート的にはレンジバンドの80㌦を抜けて現在83㌦を伺う水準ですので次の節目は90㌦程度になります。価格上昇はサウジやロシアなどの減産という政治的理由とアメリカの景気が軟着陸できそうだという楽観論が台頭しているためです。その上、アメリカは昨年の原油高の際に備蓄放出を行いましたが、その補充は70㌦を切った時点としていました。結局、ほとんど補充出来ないまま相場が反転反騰してしまっています。

日本はガソリン補助金が9月末に切れる上、円安が止まらないのでここから価格上昇が更にひどくなりそうです。原油産出国のカナダ、バンクーバーのガソリンがリッター2㌦なので日本のガソリンが200円を超えても物価水準としては何一つおかしくありません。政府はこのところの支持率低下もあり、補助金延長を打ち出す可能性もありますが、施策としては良くないのでむしろ、日銀に緩和を止めさせ円高誘導した方がよい気がします。さもないと日本の物価高が深刻な影響をもたらします。

アメリカも景気の軟着陸というそんな浮かれ気分には見えません。株式市場の動きが非常に緩慢で腰が引けている動きも続いています。夏休みの閑散期ということもありますが、しっくりきません。航空会社の決算期待が剥離しており、ブランド物の購買力も落ちているというデータもあります。コロナ補助金をいよいよ使い果たす状況にあり、小銭稼ぎのミーム株の派手な動きもほとんどなし。ということは消費力減退を意味しており、本当に軟着陸できるのかという疑問が私の頭からは離れません。

無謀なバイデン氏の大統領継投策。混迷する24年大統領選

24年大統領選に向け、本命はバイデン対トランプの再試合とされますが、個人的には両方とも無理だとみています。トランプ氏についてはジョージア州の不正選挙に絡む4つ目の起訴が秋にもあり、来年の大統領選真っただ中に起訴案件の検察とのバトルが行われるため、世論が大きく揺れる公算があります。一方、ミニ トランプとされたデサンティス候補は過激だけで支持率は着実に下落、回復の見込みがありません。今の状態だと共和党の芽はないように感じます。

ではバイデン氏は大丈夫でしょうか?仮に2期目当選となればその時点で82歳で86歳まで大統領をやることになります。アメリカは本当にそれを望んでいるのでしょうか?それほど適正な候補者が他にいないのでしょうか?バイデン氏は10日のユタ州での政治資金演説で中国批判を繰り返しましたが、その内容が事実とかなり離反している状況だったと報じられています。盛り過ぎたのか数字を忘れたのかわかりません。また数か月前には習近平氏を「独裁者」と称しましたが、自己陶酔なのか言葉の使い方を忘れたのか、客観的にみても危険な状態に見えます。

バイデン氏が大統領になる前、ボケや認知症の心配がありましたが、実際に加齢によるシャープさが欠けてきているとみた方がよいでしょう。特に大統領は実務面において極めて重要な判断が続きます。気力と体力の維持を考えると現在は出馬表明をしていますが、有力候補が出れば降りる気がします。ではいるのか、と言われるとケネディJr氏が取り沙汰されていますが、彼はポピュリズムの塊で共和党に近い考えの部分もあります。民主党がそれで我慢するとも思えず、24年大統領選はこのままでは相当混迷する気がします。

続く政治家の不祥事と岸田氏の不人気

岸田首相の動きが鈍くなってきました。支持率低迷に打ち勝つ意欲が全然見えなくなってきています。その足を引っ張るように自民党を離党した秋本議員が日本風力開発から更に3000万円、合計6000万円をもらっていたことが判明し、社長が贈賄を認める供述をしています。秋本議員がさっさと外務政務官も自民党も辞めた理由は本人が分かっていたからでした。また木原誠二副官房長官もさっぱり公務が出来ず、秋の内閣改造ではすげ替え確定とされます。

秋本議員と木原副官房長官 NHKより

政治家の不祥事はいつの時代も多いのですが、第二次安倍政権の初期は閣僚が極めて安定しており長期政権の原動力だったと思います。とすれば現在の閣僚や自民党幹部が小粒である点は否めないでしょう。また岸田氏の手の内が読まれていることも不利です。サラリーマン増税をしないと断言していますが、本心とは思えないのです。マイナカード問題も不人気の河野氏に押し付け、それが逆効果で岸田氏の評価を下げてしまいました。

私は岸田氏は長期政権になると申し上げました。21年10月からですからもうすぐ2年です。2年をどうとるかですが、近年の首相では安倍、小泉両氏以外では96年から2年半やった橋本政権に次ぐ長さなのです。秋の内閣改造を踏まえれば来年春までに首相を交代する気はしないので相当長いと言えます。ただ、このところ海外が日本の政治をスルーしているように見えるのです。外交はしているけれど響かない外交で、海外の首脳もそこは読み取っているでしょう。現状、支持率回復の気配もないけれど何も変わらないのなら近い将来、政権交代が絶対にないとも言い切れない気がします。

後記
高齢者向け住宅の事業許可申請中ですが、想定以上に複雑で細かい要望が出ており、必死のドキュメンテーション作業を展開しています。関連する各種法令規範はどれも50-100ページで細かい規定が並び、それを運営に関する書面として落とし込みます。ひな形はありません。しかもこの許可は毎年更新。日本で高齢者施設が沢山あるのにカナダで少ないのはこのハードルが高すぎるからかもしれません。契約社会の北米は何をやるにしても本当に死に物狂いの覚悟が必要です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年8月12日の記事より転載させていただきました。