ハリウッド俳優たちのストライキが長期化している。
争点の一つは「デジタルレプリカ(複製俳優)」の扱いだ。
俳優がAIで複製される? しばらく先の話なのでは? いやとんでもない。生成AIの進化と汎用化のスピードは、
生成AIについては、2022年9月の記事「絵画で1位、
「Midjourney」とは、
「テキスト(単語・文章)を入力すると、
(TtoI=Text to Image)
だ。記事からわずか10ヶ月。今や、
「画像を入力すると、それを用いた『映像』を生成するAI」
(ItoV =Image to Video)
が出現している。ランウェイ社(Runway)の映像生成AI「
操作は、画像をアップロードし、テキストで指示を与えるだけ。
すでに、
マクレーンのデジタルレプリカ
柱に縛り付けられたブルース・ウィリスと相棒らしき男。
ブルース・ウィリスの風貌は「ダイハード4」そのもの。状況は「
作成したディープケーキ社(Deepcake)は、
ウィリス氏は、22年3月に失語症で引退している。今回の、
「生成されたデジタルレプリカは、(ダイハード撮影)
「別の大陸からでも、コミュニケーションを取り、
「これは非常に新しく興味深い体験であり、
と述べている。
これまでのデジタルレプリカは、
これは違う。品質が極めて高い。本人と見分けがつかない。
自分のデジタルレプリカも、知らないうちに作られているのでは? いや、すでに使われているのでは?そんな不安がよぎる。
制作会社は準備済み
「こちらを見て。次は向こう。怖い表情をして。次は驚いた表情」
トレーラー内で風変わりな撮影が行われている。
ハリウッドのエキストラ俳優たちが、
さまざまな感情を表現してその顔をスキャンされれば300ドルの
報酬がもらえる、という単発の仕事まで業界内で出回っている。
自分の肖像は、すでにスキャンされてしまった。
こうした危機感が俳優たちをストライキに踏み切らせたのである。
争点はデジタルレプリカの扱い
ストライキは長期化の様相を呈している。
俳優たち(米映画俳優組合=SAG-AFTRA)が、
「利用許諾と追加報酬」
を求めるのに対し、制作会社側(米映画テレビ製作者協会=
「利用時の許諾・追加報酬は不要」
「肖像の永久使用、役者の台詞変更、
と返す(※)。交渉は平行線のまま決裂。
※ 米映画俳優組合の説明による。AMPTP は「使用料は俳優と協議する」と述べているが、SAG-
デジタルレプリカ作成のためのスキャンに支払われる報酬は、
合成俳優(メタヒューマン)に代替されるからだ。
複製から合成へ
合成俳優(メタヒューマン)とは、複数の俳優の肖像を、
デジタルレプリカは「俳優のコピー」だった。合成俳優は違う。「
ロイターの報道によると、合成俳優はまだ作成されていないが、
デジタルレプリカどころか、合成俳優生成のための「学習素材」
日本では合成アイドルが台頭
一方、日本では、(合成俳優ならぬ)「合成アイドル」
「永遠のセブンティーン」
このようなキャッチフレーズで、23年5月発売の「
品質は非常に高い。かつての、
「AIアイドルに、
という懸念。
そして、
「あるタレントに水着撮影を拒まれたため、酷似した『
という疑惑だ。SNSなどで、そのタレントと「さつきあい」
意図して酷似させたのかどうかは明らかではない(
批判をうけ、集英社は写真集「生まれたて。」を、
明らかになったもの
ハリウッドの俳優のストライキや、
「AIを『使えば』、人間の個性や能力を引き剥がし、
という危険性だ。どのように使う側を律するか。
【参考】
- Runway raises $141 million to continue building the future of creativity
- Bruce Willis sells ‘digital twin’ rights to AI firm Deepcake
- A Bruce Willis deepfake will appear in his stead for future film projects | Engadget
- 『ワンダヴィジョン』のエキストラ、
追加報酬なしでデジタルレプリカを作成されたと明かす - 収束見えぬハリウッドのスト「追加報酬、AI規制」求め 日本の映画界では? – ひとシネマ