特殊詐欺はなぜ固定電話を狙うのか

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毎日新聞サイトに記事「スマホで十分?「シニアの固定電話じまい」の注意点は」が掲載された。記事中に特殊詐欺への言及がある。

警察庁は、詐欺被害防止のため「番号非通知」の電話や、登録していない番号からの電話は着信拒否するなどの対応を勧めている。しかし、固定電話では有料の「ナンバー・ディスプレイ」契約をしていなければ相手の電話番号がわからない。そのために固定電話が狙われている可能性がある。

これには違和感を覚える。それよりも、どの地域の固定電話か番号を見ればわかることのほうが、犯人たちが狙う理由ではないか。

「090-1234-5678」という番号がわかっても、その携帯電話がどこにいるかはわからない。これに対して、「045」から始まる固定電話は間違いなく横浜市に置かれている。電話の所在が分かれば、効率よく受け子・出し子が配置できる。それに加えて、毎日の記事も指摘しているように固定電話の所有者は高齢者が大半である。だから犯人が狙うのではないか。

防衛費を確保するためにNTT株の売却が検討されている。これに対して、売却と同時に固定電話の全国一律サービス義務を廃止してほしいと、NTT社長が発言したそうだ。

固定電話の提供義務を外し、同時にコスト見合いの通話料に値上げするのを認めれば、固定電話利用者は一層減少していく。これによって、特殊詐欺はしにくくなる。高齢者の被害が減る「究極の」対策として検討の価値がある。