自民党女性局フランス視察日程の通信簿

自民党女性局のフランス研修旅行について、PRESIDENT Onlineに「パリ視察で観光旅行気分」は自民党女性局だけではない…元パリ駐在員が見た海外視察団の”残念な実態”という記事を書いた。

「パリ視察で観光旅行気分」は自民党女性局だけではない…元パリ駐在員が見た海外視察団の”残念な実態” 三ツ星レストランでないと嫌と言い、超高級ワインを注文
自民党女性局のフランス視察旅行が不適切な「観光旅行」だったと糾弾されている。元官僚でパリの駐在経験のある評論家の八幡和郎さんは「日本人の視察旅行は、ろくに事前学習をしないうえに観光過剰で、報告書も公表しない。とくに政治家はひどいが、今回の自民党女性局の視察は会談や講義聴講などが充実しており、まっとうなほうだ」という――...

「政治家のパリ視察の実態のひどさ」「だが、民間人もよく似たものという話」「松川視察団はかなりまっとうで批判すべきものでないこと」「おおごとになったのは、松川氏が尹錫悦大統領への支援を提唱することに対する保守強硬派の嫌がらせがあったから」ということ、また「保守系の女性政治家は持ち上げられたかと思うと袋叩きの繰り返し」ということ。そして、「官民問わず、日本人の視察旅行をどう改善したらいいか」といった話である。

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細かい内容は記事を見ていただくとして、ヤフコメでの反響も含めて、アゴラ読者のために解説する。

「政治家のパリ視察の実態のひどさ」だが、今回の女性局の視察団は三泊五日でフランスだけだが、ヨーロッパに査察団が来るといくつかの国を回って、フランスで観光とショッピングというのが多い。

しかも、他の国では贅沢しないのに、パリへ来たとたん大名旅行になりがちだ。だがもっと困るのは、そういわれたくないから、パリでも仕事をしたことにしたい紳士たちの要求だ。そのあたりの実態を書いてある。

しかも内容のない視察旅行は、政治家だけでない(具体的な交渉や商談がある場合は官民問わず別だ)。民間企業の社長さんのシリコンバレー訪問も現地では十分に嫌われている。欧米の社長さんは、組織の上に座っているのでなく、前線司令官だから当然だ。

その意味で、日本人の視察旅行は国内・海外を問わず本当にひどい。そのあたりについて、パリでの建設業界の入札制度調査と沖縄に押し寄せる年度末の視察団について実体験の内幕を書いている。

ともかく、どうして事前に勉強してから来ないのか不思議で仕方ない。もっとも、日本では視察旅行に行ったあとレポートを書かなかったり、またそれを公開もしないから、資料として得られないのである。

だから同じような視察団が、ゼロから同じことを相手に聞くことになってまったりと恥さらしだ。

入札制度についていえば、フランスでは基本的に日本のような形の談合はほとんどない。それは私がフランスの建設局で発注側の作業に参加して調べ、また1983年に単行本でも様々な機会に書いた。

ところが、日本の建設業界の人たちは、談合なしに公共工事などできないと決めてかかって視察し、質問するのだが、ないものはないから、疑問は解消しないし、報告書があったとしても、なんらかの調整が裏ではされているものとみられるとか書いたりし続けた。

自民党女性局の調査については、会うべき人に会って、話を聞くべき人に聞いている。次から次へと押し寄せる視察団のお相手をいつも務めている人たちだから、話も上手だし勉強になったと思う。

実働6時間とか言っているが、移動時間もあるし、予定通りアポが始まったり終わったりしないから、これ以上、予定を詰め込めろといわれても困る。このレベルで日程に文句言われたらたまったものでなかろう。それに、これは、国会の正式の仕事としての視察団ではないから、少なくとも出張旅費のようなかたちで国が支出しているわけではない。

子どもを連れて行った問題は、なかなか理解されないだろうが、海外では出張に家族を連れていっても仕事に支障がなければ、問題にならないことが普通だ。オフィスも個室なので、どうしようもない例外的な時は子ども連れてきてもいいし、それは広がってもいる。

日本では、かつては単身赴任者に配慮して、地方出先機関の会議は金曜日とか月曜日にして週末は家族と過ごせるようにしたものだが、このごろは、金曜日に会議が終わったら帰れとか言うことが多いらしい。

建前でなく実質的に迷惑がかからなければ、個人の幸福になるならいいことだという、気持ちがないと、日本人は幸福になれないと思う。

それから、今回の視察は「自民党女性局」だったから炎上した面もある。とくに保守派といわれる女性政治家に対しては、男の仲間からの攻撃がすごい。LGBT問題では、問題提起した杉田水脈氏が攻撃されても冷淡な政治家が多かったし、稲田朋美氏に対する裏切り者呼ばわりと落選運動もひどかった。

今回の松川氏に対する攻撃も、韓国駐在経験がある松川氏が、尹錫悦政権を支援することを主張していることに嫌韓派が攻撃をエスカレートしてきたなかで起きた事案だ。そして、次は森まさこ議員がターゲットになっているらしい。「ブライダル補助金」がテーマだが、本当の理由はLGBT法案を推進したからだ。