科学的根拠を著しく欠く日本共産党の「汚染水放出絶対反対」

東京電力の処理水海洋放出

東京電力福島第一原子力発電所で、処理水の海洋放出が8月24日から始まった。政府の関係閣僚会議の決定を受けての放出である。

現在第一原発の敷地には1000基以上のタンクに、多核種除去設備(ALPS)を通した134万トンの処理水が保管されている。今回はそのうちの7800トンを海水で薄め17日間で流す計画である。

東京電力HPより

処理水の海洋放出は1000基を超えるタンクによる処理水の保管が限界に達し、廃炉作業に重大な支障が生じているからである。東電は今後30年かけて海洋放出する計画である。

処理水は大量の水と微量のトリチウムが混ざったものであるが、放出に当たってはさらに海水で薄められるため、その安全性を権威ある国際原子力機関(IAEA)が認定している。

日本共産党の「汚染水放出絶対反対」

ところが、日本共産党は、処理水を「汚染水」と称しその放出に絶対反対している。

主たる反対理由は、東電及び国が漁業団体との間で8年前に交わした「漁業団体の理解なしにはいかなる処分もしない」との合意書に違反するというものである。そして、放出は東電をはじめとする大企業・財界の金儲け優先であり、国民の命を危険に晒し到底許されないと主張している(「赤旗」8月25日)。

共産党の放出絶対反対は、「赤旗」でも反対の科学的根拠を全く示していない。上記のとおり、IAEAはすでに処理水放出が安全であることを科学的に認定している。共産党はこのことには全く触れず意図的に避けている。都合が悪いからであるが、「科学的社会主義」を理論的基礎とする(党規約2条)日本共産党が処理水放出に限って、中国共産党政府と同じく全く「非科学的」なのは到底理解できない。

また、共産党は「合意書違反」を強く主張するが、処理水放出がIAEAの認定により科学的に安全である以上は、「合意書」の効力は、その後の「事情変更の原則」(最判平成9・7・1民集51・6・2452。最判昭和30・12・20民集9・14・2027)により法的に無効または、著しく減殺される。

したがって、仮に、一部の支援弁護団が、「合意書違反」を理由に福島地裁などに放出阻止の行政訴訟を提起したとしても、上記の理由及び放出の必要性から敗訴は確実である。

科学的根拠を著しく欠く日本共産党の反対

東電は8月25日海洋放出後の周辺海域10地点で採取した海水に含まれるトリチウムの濃度が測定可能な限界値を下回ったと発表した。また水産庁も周辺海域の魚の分析の結果、全く異状がなく安全であると発表している。

このように、今回の処理水海洋放出の安全性は科学的にも実証的にも確認されている。それにもかかわらず、日本共産党が中国共産党政府と同様に、全く科学的根拠もなく「汚染水放出絶対反対」を主張し宣伝することは、中国共産党政府を喜ばせ、日本を貶め、風評被害を拡大し、著しく国益に反する以外の何物でもない。