ドロ沼不倫でも成功する経営者、一度の火遊びで失墜する経営者(横須賀 輝尚)

シェアーズカフェ

2023年8月、女優の広末涼子さんとダブル不倫した著名なシェフが、グループ企業から解任、減給の処分を受けていることが報道されました。

ほかの業界でも、昨年はアウトドア用品を販売する企業の社長が不倫、妊娠を理由に辞任しています。このように有名企業ともなればプライベートでの出来事が自らの進退に大きく関わることになりますが、実際の企業ではどうなのでしょうか。

「実際の企業経営者は、必ずしも清廉潔白ではない。」このように語るのは「プロが教える潰れる会社のシグナル」の著者、横須賀輝尚氏。「会社が倒産するのは突然。しかし、実際は小さな『倒産のシグナル』を出している」と同氏は言います。

今回は、横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。

公私混同している会社は、調子が良いときは良いけれど……

中小企業は経営者と密接不可分。だから、よく公私混同をしています。

例えば、本来なら認められない家族との食事代なども、経費に入れ込んじゃうことはよくあることです。

美術品などの嗜好品もそう。特に高級車は完全に自家用だとしても、会社のお金で購入します。そういえば、『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』(小堺桂悦郎・著 フォレスト出版)というベストセラーもありました。この公私混同については、いろいろな側面があります。

まず、公私混同する経営者はダメだという意見。これはもっともな意見に聞こえますが、実際にはそんな清廉潔白な経営者は少数派です。税理士と相談しながら、上手く公私混同しています。ですから、公私混同をもって潰れるシグナルとは断言できません。

中小企業の業績は、経営者の状態がすべてです。経営者のモチベーションが高ければ業績は良くなりますし、逆にモチベが低ければ業績はダダ下がる。中小企業ってそんなものです。

そういう意味では、「ちょうど良い塩梅」で公私混同しているくらいが好調だといえるのではないかと私は考えています。

ただ、これも度合いがあって、例えば愛人に生活費を渡したくて自分の会社で雇ったことにして、給与として毎月何十万円ものお金を支払っている、あるいは、会社名義でマンションを借りて社宅扱いにして愛人を住まわせているとか、度を越えていくと雲行きが怪しくなってきます。

Antonio_Diaz/iStock

こういうのは実態がなければ、税務調査で一発アウトです。また、社員にバレたら一気に会社や経営者への忠誠心が失われてしまう可能性もあります。

とはいえ、この愛人の存在によって経営者がやる気になっているのであれば、倫理面はさておき、会社としては好調な業績を維持できる可能性があります。

経営者の「不倫」の話

世間的には不倫といえば、いまや徹底的に叩かれるものですが、現実世界ではどうかというと、経営者の不倫なんかいくらでもあります。むしろ多いくらいです。

結果として、家庭が崩壊し、経営も崩壊するというのは想像に容易いと思いますが、案外不倫関係を維持しながら業績好調という経営者もいます。それは、家庭も維持しながら、それを踏まえた上で不倫関係も成立させているという強者。

不倫相手には、「自分は家庭がある。離婚もしない。それでもいいなら付き合う」ときちんとラインを引いています。こうやって、ものごとの善悪はともかく「安定させちゃう人」がいるのも事実です。まあ、人間なのでラインを引いても本気になっちゃうことはありますが……。

ちなみに、夫婦仲はいずれかが起業し、社長になるとほとんどの場合バランスが崩れます。それだけ、サラリーマンと社長が住んでいる世界が違うってことですが、いままでと同じようにはならなくなるんです。

社長になった方は、環境もあってどんどん成長していく。そして一方がそれについていけない。別世界の人に見えてしまう。だから、仮に起業した方が成功しても「昔のほうが良かった」と言ったり、足を引っ張ったりすることもあります。

成功に嫉妬するってことも。成功してお金が手に入って夢が叶うのに、家庭が崩壊するというのも皮肉な話ですね。

ちなみに、上場企業の場合は公私混同できません。財務諸表は公開しなければならないし、やってしまったらマスコミの格好の餌食です。上場企業の経営者、あるいはマスコミに狙われやすい経営者個人の知名度が高い会社などは、こうした公私混同や不倫関係なんかは狙われやすいので、ちょっと危険なシグナルだと言えます。

横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。
会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚 https://www.amazon.co.jp/dp/B08P53H1C9
公式サイト https://yokosukateruhisa.com/

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年9月5日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。