「売上と雇用」の維持拡大を経営目標にしてはいけない

会社の経営判断するのに、売上高や社員数がその指標になっている時代がありました。しかし、今やその判断基準は意味をなさないことが明らかです。

売上高に関して言えば、いくら大きくても利益が確保できなければ、会社としての存在価値は無いというのが私の考えです。

そもそも売り上げとは、商品を左から右に動かせば、いくらでも作ることができるものです。しかし、利益とは会社が付加価値を提供できなければ得ることができません。

例えば、売り上げが100億円で赤字の会社より、売り上げが10億円で利益が3億円の会社の方が、社会における存在価値が高いと思います。

会社の利益こそが、社会からの評価の指標なのです。

ルールに基づいた経営を行い、正当な利益を出して納税する。これが経営者がまずやるべき社会貢献です。

また、従業員の数も多い方が良いのではなく、同じ経営状態であれば少ない方が効率的と考えることができます。

例えば、社員10人の会社と社員1人の会社が同じ3億円の利益を実現したとすれば、後者の方が効率性からは優れた経営と言えるのです。

企業には、雇用責任があると言う意見もあるかもしれません。しかし、社員数が増えても、それに伴う価値の提供ができなければ、会社としての効率は低下していきます。

日本企業の生産性が諸外国に比べ一般的に低いと指摘される理由の1つは、雇用責任と言う名のもとに、必要のない社員を抱え込んでいる企業が多いからではないでしょうか。

従業員の数が多いと効率性が落ちるだけではなく固定費を増やすことにもなり、経営が不安定になります。経営の観点からは、従業員は少ない方が良いのです。

私が社会人になって最初に就職した金融機関は従業員6000人ほどでした。次に転職した外資系金融機関の日本法人は当時従業員が約100名。その後参画したマネックスは、1999年4月の入社時は社員わずか4人でした。

そして、資産デザイン研究所の社員は私1人だけです。

社員数が多い会社が悪いと言うわけではありません。小さな組織では成し遂げられないビジネスもあるからです。

しかし、少なくとも私には、社員数の多い組織で仕事をするより、できるだけ少ない人数で効率的に仕事をするやり方の方が向いているようです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年9月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。