醤油チュルチュルと日本人の平和ボケ

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日本では2023年になって、回転寿司の醤油などにいたずらをする人が、厳しい罰を受ける例が出てきましたが、私の書籍である「世界のニュースを日本人は何も知らない4 – 前代未聞の事態に揺らぐ価値観」でも指摘したように、海外の人はかなり前から日本の回転寿司を見て、その日本人の性善説を信用する姿に大変驚いていたのです。

なぜなら日本人は、ベルトコンベアの上に乗っている寿司を勝手に食べてしまおうとする人がいると、今まで思ってもいなかった(!)からです。そしてベルトコンベアから他の人が注文したお寿司を勝手に取って、 お寿司だけ食べてしまって皿をどこかに隠すということは、想定もしてなかったのです。

醤油チュルチュルや器、お箸での悪さも想定外。

他の国の人だと、自分がいかに得するかということばかり考えます。

他人のものは取って「当たり前」

ごまかして「当たり前」

自分で注文するのが面倒くさいから、他の人の物をどんどん食べてしまうでしょう。

このようなメンタリティの違いは、日本人が常に先のことを考えていて、 自分の行動の最終的な結果を考慮しているということと繋がります。

些細なことみえますが、これが日本での犯罪率が非常に低いということと大きな関係があります。

先を想像できるので悪いことをやらないのです。周りも見ているのできちんと振る舞います。

しかしこれは、日本で起業率が低かったり、新しいことに挑戦しない人が多いということとも関係があるでしょう。

予想しすぎてしまうので、犯罪スレスレの斬新なことをやりたがらないのです。そして良い意味で自分の欲望に対して抑制的なので、富や力を求めようとしません。

海外において、自分で商売を起こしてお金をガンガン稼ぐような人々というのは、大変強欲なので、 列の順番などを守りませんし、回転寿司でも他人の物を食べてしまうような人間です。

日本人が現在戦っている人々というのは、こういうメンタリティを持った人達なのです。

ですから日本人が日本人向けに考えた回転寿司の注文システムのようなものは、海外では相当お金がある人々や、モラルがある人、 周囲に監視の目があるようなところでなければ通用しません。そのため海外では回転寿司の料金がやたらと高いのです。高いのは安全を買うため、モラルが低い顧客を排除するためです。

これは回転寿司だけではなく、他の業種でも全く同じ事です。

日本人は「日本で通用しているシステムが、他の土地に行った想定通りにはならない」ということを、国民性や考え方の違いから知っておくべきでしょう。