車の営業担当者の熱意の違いは何が理由なのか?

電気自動車(EV)の試乗するために、予約をして2つの会社にモデルルームにそれぞれ出かけました。

午前中に最初の試乗に出かけたモデルルームの担当者は、極めて営業熱心でした。

試乗が終わると、モニターを使いながら価格について事細かに説明をしてくれ、とりあえず予約金の15,000円をその場でクレジットカード決済するように説得してきます。

午後から別の会社の車にも試乗すると伝え、その場での申し込みはしませんでした。

午後に出かけたもう一つの会社は、最初の会社と随分違いました。

こちらもとても親切な営業担当者でしたが、自己紹介をすることもなく、名刺交換もありません。何ともカジュアルな対応です。

試乗の際は、助手席で丁寧に運転の仕方を説明してくれ、こちらも気持ちよく運転することができました。

ところが、試乗が終わると一通りの説明をするだけで、価格に関してはこちらから試算を依頼するまで提示してくれませんでした。

やる気がないとか、態度が悪いと言った不愉快になる感じは全くありませんでした。ただ、車を売ろうという営業姿勢が全く感じられず、対照的な対応が印象的でした。

さらに、最初の会社の熱心な営業担当者からは、2社目の試乗が終わった頃を見計らって、同じ日の午後にメールが届きました。

自社の製品が他社に比べて、どれだけ優れているかをアピールし、納車が遅れる可能性があるので、早めに申し込むことを推奨していました。

すばらしい営業センスです。

試乗の結果、最初の会社の車を買う事にし、言われた通りクレジットカードで予約金の支払いを行いました。

営業担当者が熱心だから購入したというのが理由ではなく、2つの車を乗り比べた結果、自分が気に入ったからです。

それにしても、同じ海外の自動車メーカーの営業で、なぜこれほど大きな違いがあるのでしょうか?

これは、営業担当者の熱意の問題と言うより、販売に対するインセンティブや目標設定の違いではないかと感じました。

車の販売は製品自体のスペックや魅力が大きな購買要因ですが、営業担当者の能力によっても大きく結果は変わります。

日本国内のEV市場の未来のマーケットシェアがどうなっていくのかを暗示するような経験でした。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年9月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。