東京の「船通勤」は普及するのか?

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gyro/iStock

日本橋~豊洲間と晴海~日の出間に、船による通勤を目的とした新航路が誕生するそうです(図表は東京都のウェブから)。

 

私が注目するのは、もちろん後者の「晴海~日の出」ルートです。

晴海の船着場は、晴海フラッグの交通広場前になります。そして、日の出桟橋の船着場は浜松町駅から約0.8kmです。

果たして、船通勤は晴海フラッグ住民に普及するのでしょうか?

晴海フラッグは、地下鉄の最寄り駅から徒歩20分近くかかり、鉄道による交通アクセスはあまり良くありません。

その代替策として来年入居が始まるタイミングでBRTと呼ばれるバス便が新橋・虎ノ門方面に増発されることになっています。

船による交通手段は、このBRTとの競合になると思います。

晴海~日の出ルートの最大の懸念は、船着場から浜松町駅までのアクセスです。

徒歩で約10分とされていますが、雨の日や真夏・真冬に海沿いを10分歩くのは負担です。無料のシャトルバスが運行されるという話もありますが、船から降りてまたバスに乗ってようやく浜松町駅というのは微妙です。

また、浜松町から更に乗り換えが必要な乗船客がほとんどと思われ、現状では利便性はお世辞にも高いとは言えません。

運行頻度や時間帯もまだ未定ですが、利便性に魅力がなく利用者が増えなければ、そのうち運行本数も少なくなり、採算が取れず運行が廃止される可能性も出てきます。

しかし、船通勤自体にニーズがないのではなく、ルートが魅力的でないために普及しないのだとすれば、とても残念なことです。

晴海から日の出だけではなく、日本橋などの別のルートも増やして利便性の高いルートを作って、普及を後押しして欲しいと思います。

私は、今回の船による「晴海~日の出」の通勤ルートの普及には悲観的ですが、実際に運行が開始されて乗ってみないとわからない点もあります。

来年、春に運行開始したら、早速利用して確認してみるつもりです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年9月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。