コロナ禍で儲かった企業、潰れた企業の違いとは?(横須賀 輝尚)

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2020年3月、突如として世界を襲ったコロナ禍。これによって飲食業、旅行業など多くの企業が大打撃を受け、中には倒産の憂き目にあった企業もありました。

コロナ禍は多くの企業にダメージを与えた一方で、マスク、消毒液、アクリル板など逆に脚光を浴び、業績を伸ばした企業もあります。こうした「危機」は企業の強さがわかるひとつの指標ともいえるでしょう。

あなたの会社の業績は、いま好調かもしれません。しかし、その売上構成を紐解いてみると、実は極めて高い脆弱性を持っていることがあります。

「売上構成をみると、その会社の危険度がわかる。」と言うのは「プロが教える潰れる会社のシグナル」の著者、横須賀輝尚氏。「単に売上が伸びていても、一瞬で倒産する可能性は十分にある」と同氏は解説します。今回は、横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。

一社依存、ブームに乗って伸びた会社は危険

売上構成を見ると、その会社の脆弱性がよくわかります。「一社依存」、これはわかりやすいシグナルです。これはどういうことかというと、売上を構成している取引先が、一社しかないという場合です。一社からの仕事の供給が安定しているということは、いい取引先があるということです

しかし、この取り引きがなくなったら終わりという事実は拭えません。

実際、こういう話はよく聞くものです。大企業から大きくまとまった業務を受注した。その結果、売上も伸び、社員も増えたけれど、数年後にその取り引きがなくなってしまって、どうにもこうにも会社を維持できなくなったというパターン。

売上構成的な脆弱性もありますが、こうしたある意味経営的には「ぬるま湯」であり続けた経営者にちょっと危機感がなかったと言えます。ですから、あなたの会社の取引先がどのような売上構成になっているのか、確認してみるといいでしょう。

もうひとつ。一社依存と似た要素を持っているのが、ブームに乗って伸びた会社です。

これもちょっと危ういといえます。ブームというのは流行り。流行りがあれば廃れもあるわけで、このあたりは注意が要ります。もちろん、ブームに乗るってことは、経営者がそういう嗅覚を持っているということで、決して悪いことではありません。

例えば、近年でもっともわかりやすいのは新型コロナウィルス感染症で伸びた会社でしょう。これまであまり強いニーズではなかった、マスク、消毒液、アクリル板、体温測定、空気清浄機などは驚くほど需要が増えました。

ほかにも、飲食物の宅配サービスやオンライン配信など、流れに沿って需要を増していきました。私たち士業の世界では、補助金や助成金の申請業務なども伸びていきましたね。

コロナ禍での有名なわかりやすい例といえば、エクスコムグローバル株式会社などでしょう。「イモトの WiFi」などでモバイル通信サービスを手掛けていましたが、コロナ禍で海外旅行は壊滅的に。そこで目をつけたのが新型コロナウィルス感染症の検査である「PCR検査」です。

「にしたんクリニック」と聞けば、「ああ、あれか」と思う人も多いはずです。にしたんクリニック自体は二〇一九年の立ち上げのようですが、コロナ禍にPCR検査事業を始めることで業績を伸ばしました。コロナ禍真っ最中のときには、検査は必要なものでしたしね。

ブームに乗って伸ばすことは悪くない。問題は、その次です。経営者がブームで得た業績の上にあぐらをかかず、二の矢、三の矢を考えているかどうか。ブームで儲かった事業の次に、別の事業や商品が出てこないと、ちょっと危ないのかもしれません。

とはいえ、ChatGPT などに代表されるAIなど、新しいものに無関心でも足元を掬われます。このあたりのバランス感覚を持っている経営者は優秀といえるでしょうね。

横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。
会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚 https://www.amazon.co.jp/dp/B08P53H1C9
公式サイト https://yokosukateruhisa.com/

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年10月6日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。