維新の「社会保険料3ヶ月減免」案を創業者の橋下徹さんが批判

アゴラ編集部

維新が「緊急経済対策」を政府に提案すると発表しました。その目玉は、社会保険料を低所得者は半減、それ以外は3割減という大胆な案です。

しかし創業者の橋下徹さんから疑問の声。

日本の社会保険料は総額78兆円なので、その3割引だけで23兆円。「低所得者」の基準は「住民税非課税世帯」なので1600万世帯。国民年金保険料は年額20万円、国民健康保険料は19万円なので、合計39万円×1600万世帯=6.2兆円。それを半額にすると、3.1兆円の減税になります。

これを全世帯の3割引と足すと減免額は約25兆円。ところが、なぜか維新の案は「10兆円規模の経済対策」。計算が合いません。

おまけに社会保障の財源になっている消費税を8%に下げるという。この財源は、どこから出てくるんでしょうか。専門家からも疑問が出ています。

たぶん維新(というか音喜多政調会長)が、政府支出の意味をよく知らないんだと思います。78兆円の社会保険料を3割減免して5.7兆円とは、どういう計算でしょうか。

どうやら「半年だけ減免して来年4月に元に戻す」というアクロバティックな案らしい。

それでも社会保険料という言葉が政党の政策案に出てきただけましかもしれない。

今まで与野党ともに社会保険料に手をつけなかったのは、それにふれると財源論が出てきて、後期高齢者医療の1割負担などの老人優遇の見直しになるからです。維新のように財源論をスルーするなら気楽なものですが、政策としては成り立たない。

どっちみち今回の案が実現する見通しはないので、社会保険料の減免は撤回し、維新の幹部は社会保障の勉強をしたほうがいいと思います。