世界初! 自衛隊向け「レールガン」洋上射撃に成功 SFの世界が近づいた?
防衛装備庁は2023年10月17日(火)、海上自衛隊と連携し、世界で初めて艦艇にレールガンを搭載して洋上射撃試験を実施したと発表しました。
レールガンは、これまでの兵器では対処が難しい「極超音速誘導弾」などに対する防空や、艦艇や地上目標に対して回避が困難な打撃手段として使われる見通しです。まずは小口径のレールガンでデータを取得した後、中口径レールガンの開発が想定されています。
#防衛装備庁 は、#海上自衛隊 との連携により艦艇に #レールガン を搭載し、世界初となるレールガンの洋上射撃試験を実施しました。従来の火砲を凌駕する高速度の弾丸で、空や海上の脅威から艦艇を守るため、レールガンの早期実用化を推進しています。 pic.twitter.com/mQtt1LhH5C
— 防衛装備庁 (@atla_kouhou_jp) October 17, 2023
端的にいえば実用性はありません。金の無駄です。その分レーザー砲の開発に予算を集中すべきです。
まずレールガンは射出時に投射体へ大きな電流を流すため、電子信管や炸薬を搭載できないので、単なる金属の塊です。ですから相手のミサイルに直撃しないと撃墜できないわけです。当然誘導も出来ません。
いくら高速で弾を打ち出しても、誘導できないので命中は期待できない。その敵のミサイルの探知追尾を行って適切な未来位置にぶち当てることは現在の技術では無理です。
そして砲身内の内圧が強いために、頻繁に砲身を交換しないといけない。更に申せば、電気を貯めるキャパシタの能力の問題もあって発射速度を早くできない。
更にかなり大きな発電システムも必要です。
対して現状の機関砲は電子信管と装薬内蔵です。射撃に際してマズルで電子信管をプログラムして爆破のタイミングを決めることができます。弾頭を空中で炸裂させるので、必ずしても命中させる必要はない。また任務によって弾種を変更することもできます。
ラインメタルのスカイレンジャーは毎分発射速度が1000発なので弾幕の中で敵のミサイルを絡め取ることができます。DSEIで展示されたラインメタル社の弾痕は直径1メートル程度でした(距離は不明)。
これはドローンのスウォーム攻撃にも有用です。レールガンではこうは行きません。トルコのアセルサンのクロークトは毎分500発の35ミリ機関砲を連装にしています。
まだしもレーザー砲の方が、未来があるでしょう。レーザーは実体弾を発射しないので、日本の拠点防衛には向いていると思います。ただ天候による影響を受けやすい。各国ではレーザー兵器の開発は盛んですが、レールガンは米軍が開発をやめたこともあって低調になっています。なぜ同盟国がやめたのか、調べた方がいいです。
【本日の市ヶ谷の噂】
陸自が銃身長の短い20式小銃用に鳴り物入りで導入した新型弾だが、今になって現用のMINIMI Mk1及び新たに今年なら道入されたMk2で使用すると不具合があることが「発見」された。採用以前に新型弾薬の試験をしてなかった杜撰な選定課程が原因だが、関係者は鳩首会議で夜も眠れず、との噂。
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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年10月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。