日本人として良心と現実を調和するパレスティナ理解

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プレジデント・オンラインに『「パレスティナとイスラエル、結局どっちが悪いの?」日本人が答えを出しにくい”世界の難問”を考える 岸田首相は「英米の走狗」として動きすぎている』という記事を掲載したのでご覧いただきたい。

「パレスティナとイスラエル、結局どっちが悪いの?」日本人が答えを出しにくい"世界の難問"を考える 岸田首相は「英米の走狗」として動きすぎている
イスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃したことをきっかけに、パレスティナ紛争が激化している。評論家の八幡和郎さんは「望ましい未来は、イスラエルがパレスティナの人々の権利を侵害したことを認めると明確にすることだ。パレスティナ人に有利な形で二国家共存体制を構築することは難しいと言われるが、私は可能だと考える」という――。

問題を根本から考えてみると、どう考えても悪いのはイスラエルだが、現実に日米同盟やヨーロッパとの友好を考えれば、歩調を合わせる必要がある。

そこで本日は、それをどう調和させるか整理したい。

大きな問題の捉え方としては、こう考えるとよい。

① そもそもユダヤ人がパレスティナの地に国を作りたいと考えるのは自由だが、アラブ人が2000年近く住んでいるところに勝手に建国しようなどというのは何の正義もないし、建国に至るまでの経緯も論外である。

② しかし、1950年の国連決議や1993年のオスロ合意を経て、イスラエル国家の存在は国際法上、承認されたものであるし、それに伴って自衛権もある。

③ だが、だからといって、建国に至るまでの暴虐が許されるわけでない。とすれば、十分な謝罪と償いをすることで平和を獲得するべきだし、国際社会はそれを後押しすべきである。日本は欧米の一番後ろにつきつつ、仲介の労を執るのが正しい。

次に昨日までの数日の間に起きたことについてまとめておきたい。

国連総会(193カ国)は27日、ガザ地区について緊急特別会合を開き、「敵対行為の停止につながる人道的休戦」を求める決議案を採択した。フランスや中国、ロシアなど120カ国が賛成、イスラエル、米国など14カ国は反対、日本や英国など45カ国が棄権。14カ国は無投票。

私はヨーロッパでもフランスなどが賛成しているのだから、賛成すべきだと思う。G7の最後について行けば欧米との同盟上のお付き合いは十分だ。

イスラエルの世論調査では、地上侵攻への賛成は65%から49%に下落。ネタニヤフが自分の政治的野望のために無茶な暴虐をパレスティナに対して繰り返してきたことへの批判が高まっているとBBCですら報じている。

EUは首脳会議を開き、ガザ地区に支援物資を運び込むため、イスラエルとイスラム組織ハマスに対し、「人道回廊の設置」や「戦闘の一時停止」を求めることなどで合意。イスラエルへの一方的支持に傾くドイツの抵抗をフランスなどが説得した。

それでも会議後、ショルツ首相はイスラエルが節度をもって行動していると発言して各国からの猛反発を受けている。

ドイツはホロコーストのコストを払うべきだが、絶対にパレスティナ人にガス室のつけまわしをすべきでない。すでにイスラエルの行動はジェノサイドだと(ルーラ大統領など)いう意見も高まるなかで、誤りを繰り返すことになりかねない。

日本は、イスラエルの正当防衛であればなんでも許されるという理屈を受け入れることは、真珠湾の正当防衛として東京大空襲や広島や長崎への原爆投下も許されるという意見に賛成するに等しい。ルメイ将軍らは、日本は町工場が多く、軍事施設とそうでないものを区別できないという理屈を使った。

保守派の一部というか日本保守党など極右勢力は、こうした問題についてどのように他の問題における主張と整理するつもりか。パレスティナ問題でイスラエル寄りのポジションとっても、アメリカが歴史修正主義的な主張を許してくるとは思わないが。