韓国の司法判断2題:「帝国の慰安婦」朴裕河氏の勝訴

中国、李克強元首相が心臓発作でお亡くなりになりました。68歳。今年3月まで首相であり、かつ、習近平氏の暴走に歯止めをかけられる最右翼でした。国民人気も高かった方です。死因がどうであれ、習近平氏の周りから面倒な人がどんどん消えていきます。

元外務大臣と国防大臣の失脚問題もまだホットな内容です。裸の王様、習近平氏の向かう体制下で14億の民を縛り続けるのは限界が見えてくるだろうと思います。それはさほど遠くない気もします。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

金とビットコインは輝くのか?

株をやるより金とビットコイン、と思っている方もいるでしょう。金の値動きはさほど大きなものではありませんが、じわじわと下値を切り上げており、2000ドル程度に張り付いています。理由は安全資産であり、イスラエル/ハマス問題が生じてから6-7%上昇しています。一方、ビットコインは全く違う理由です。アメリカSEC(証券取引委員会)がビットコイン裁判で敗訴していますが、SECは必要以上にビットコインを抑制しようとしているという判断がありました。

それもあり、ビットコインの現物のETF(上場投信)の承認が近く認められるのではないか、という憶測が市場を支配しています。そうなれば現物の需要は急増します。更にビットコインの半減期を来年春に控えており、今年後半から来年年初にかけ、需給問題から上がりやすいというのが過去の半減期を経た経験則です。ビットコイン10万ドル説などがありますが、現物の上場投信と半減期の組み合わせは極めて強力な材料になります。ただ、ばくち的要素は強いと思います。

一方、金については一般社会におけるインフレ率を考慮すれば金利が上がり、金にとっては不都合な現在の状態においても底上げ相場であり、なおかつ世界の不協和音を考えると今の相場はまだ入り口に過ぎないと言えるかもしれません。

もちろん、現在の勢いはイスラエル問題に強く影響を受けているので休戦/停戦になれば相場の急落はあるし、ヒスボラやイランが出てくれば金だけではなく、原油も暴騰のシナリオになります。あまりこういうものに賭けてはいけないので金とビットコイン、双方ともじゃじゃ馬で扱いにくい相場付きになる点は大いに留意です。

皇室は忙しすぎやしないか?

天皇家や秋篠宮家を始めとした皇族が日本中を飛び回っています。秋は特にイベントが多いこともあります。3人の天皇家、4人の秋篠宮家、常陸宮家が2人、三笠宮家が4人、高円宮家が2名で上皇さまご夫妻を除けば15名。うち、女性が11名、現役で動けるのは総動員でも12名。国内の様々な行事に顔を出すのはあまりにも付加かがかり過ぎると思います。

佳子様が以前、眞子様が嫁がれたことでその仕事が全部自分に廻ってくると嘆いたという話を読んだことがありますが、テレビニュースをみていると佳子様は出まくり状態であります。

いわゆる財団や社会的意義のある活動、スポーツや文化団体では皇室が名を連ねているケースが多く、皇族も「忙しいからそれはキャンセル」とは事情がない限り言えません。公平性を保つことは皇室にとって極めて重要です。しかし、これではプレーイングマネージャーならぬプレーイング インペリアル ファミリーで経済、政治を除く部分を全部カバーしているような状況は「日本の神様は皆働いていた」の現代版そのものに見えるのです。

旧皇族は1947年の皇室典範で臣籍降下があり現在の皇室は人数的にも限られている上に少子化の波は皇族にも当然あります。更に女性が多い皇室に於いて人数は更に減る可能性が高まる中で「家じまい」すら起きかねない現在の皇室、そしてますます激務になる皇族を拝見する限り、なにか抜本的対策が必要なのではないかと思いながら事務所にある皇室カレンダーを思わず覗き込んでしまうのであります。

韓国の司法判断2題

今週、韓国で日本に関する裁判の判決が2つありました。1つは韓国大法院(最高裁)の判決で、朴裕河氏著の「帝国の慰安婦」の表記内容について韓国慰安婦は売春婦で強制連行ではないと判断し、高裁差し戻しとなりました。6年越えで争われてた注目の裁判でしたが、朴裕河氏の勝訴となりました。差し戻しとなっても最高裁の判断基準が覆されることはなく、朴氏の実質勝訴で終わりとなります。

最近は慰安婦問題は日韓の歴史問題においてあまり主軸ではなく、いよいよ消えていくような気もします。

朴裕河氏 NHKより

2つ目の判断は対馬にある観音寺にあった石仏(観音菩薩坐像)が2012年に韓国の窃盗団により盗まれ、韓国持ち込みの際に税関で見つかり、韓国政府没収となっていたものについてそもそもの所有者と主張する韓国の瑞山浮石寺がその所有権をめぐり争っていたものです。

韓国高裁の判決は「日本のもの」でした。石仏そのものは1330年頃に作られたものとされますが、対馬の観音寺で1527年から保管しているそうです。判断の一つは1330年当時に作られた際の浮石寺と今の浮石寺が同一か判断できないことと日本の所有権を国際法的に認める20年ルールが当てはまる点から石仏の韓国側の所有の主張は否定されました。

韓国は情緒法とされます。時の政権の方向でなびきます。尹錫悦大統領は日本と協調しようという政治的姿勢は強く、数年前までの日韓の冷たい関係は雪解け状態にあります。そのようなことも今回の2つ判断の背景にはあるのでしょう。

尹政権が安定的長期政権であれば日韓関係にはプラス、また、中国と北朝鮮問題のボルテージが上がってきている中で日韓が争っている場合ではないというのは確かなポジション。原発処理水問題も尹大統領は日本の意向を汲んでいます。韓国政権がこの先、どうなるかわかりませんが、今のうちに歴史問題は片づけておいた方がよいでしょう。

後記
当地で毎年末に開催されるビジネスアワードの審査委員長を務めているのですが、顕彰するよりもビジネスにつまづいてしまっているケースがはるかに多く、このところ私はそのフィクサー係で走り回っております。別に自分のビジネスとは何ら関係がないのですが、日系ビジネスが風前の灯となっている様相を見て放置できない、というのが正直なところです。海外で日本人が起業するのは本当に大変だし、継続性の問題があります。ここに来て日系ビジネスは更に周回遅れとなった感じで、どのように立て直すのか、頭を痛める日々であります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月28日の記事より転載させていただきました。