『秋篠宮家批判に徹底反論！』という記事を、月刊hanadaの12月号に載せた。これまであちこちで書いてきたことだが、保守系の人でもデマに踊らされている人が多いので、10点にまとめた。
詳しくはそちらをご覧頂きたいが、ここでは、その要点と補足をしておく。
考えてみれば、いまアンタッチャブルのような存在になって真っ当な批判すらやりにくい天皇ご一家も、東宮時代には、現上皇ご夫妻との比較で、厳しい批判を浴びたこともあった。
そのときは、上皇ご夫妻の考え方なりスタイルに近いということで秋篠宮家がもてはやされた時代もあったから、また状況は変わるのだろうが、安定していることが大事な皇室にとって、こうした上げたり下げたりは好ましいとは思えないのである。
私は公平に世界のロイヤル・ファミリーが受けているような批判は、むしろないと、長い目で見て良くないと思うが、やはり節度は必要だと思う。
秋篠宮家の面々（令和4年） 宮内庁HPより
1. 皇嗣と皇太子は同格
現在、「皇太子は空位である」とか｢愛子さまを皇太子に」とかいう人がいる。だが、これは、間違いである。
天皇の皇位継承順位第一位の皇族を皇嗣というが、その皇嗣が天皇の子であれば皇太子と呼ぶだけで、法的にも秋篠宮皇嗣殿下は、平成時代の皇太子殿下とまったく同じ立場である。
なお、ヨーロッパ言語では皇嗣はあっても皇太子と同じ意味の言葉は存在しないから、例えばウィリアム皇太子と呼ぶのはおかしいのだ。
2. 秋篠宮は天皇らしいか
秋篠宮への批判のひとつは、陛下に比べてありがたみがないとか、温厚でないということである。一般家庭でも長男は温厚で、次男はやんちゃであることが多いが、皇室では会えて差を付けて育てる。その結果であって、皇嗣殿下として活動される中で雰囲気は出てくると見られる。
また、陛下は歴代天皇のなかでとくに温厚であるのは確かでとても好感を持てるが、あまり誰にでもやさしいいのがいいとは限らない。上皇陛下、昭和天皇、明治天皇などかなり厳しい君主だったが、それは間違いだったというのだろうか。
3. 紀子さま不人気の理由
現在は、雅子さまへの批判じみた記事を書けば、必ず炎上するほど皇后陛下の人気は高いが、かつては身勝手だと批判され、紀子さまが褒められていたこともあるのだが、その後、とくに、状況が変わったわけでない。
ただ、マスコミなどで紀子さまが叩かれやすいのは、良妻賢母路線指向がフェミニストに嫌がられているということもある。また、美智子さまを模範としていることが姑に媚びる嫁というイメージに結びついている。一般に「進んだ女性」たちは、美智子さまを煙たがっている。美智子さまのために良妻賢母という理想が生きながらえて社会を悪くしているというのだ。ただ、隙のない美智子さまは批判しにくい。そこでスケープゴートになっているのが紀子さまである。
4. 眞子さまのけじめ
眞子さまが小室圭氏と婚約したときに、私はアゴラで猛烈に批判したが、世論は反対だった。ところが、たいしたことない母親の借金で袋たたき。
眞子さまが、天皇陛下が関与する結婚行事や親戚づきあいを辞退し、１億数千万円の一時金も受け取らなかったのだから、秋篠宮家は、けじめはこれ以上ありえないほど誠実につけられており、とりあえず暖かく見守ってもいいのでないかと思う。
5. ノブレスオブリージュ
「学習院と皇族女子（新潮新書）」という本がある。著者は学習院で中学・高校から紀子さまの一学年下で元産経新聞記者だが、学習院卒業生からみた秋篠宮家についての井戸端話的な不満や噂話を集大成したもので、学習院関係者が秋篠宮家誹謗の情報提供者として大きな比重を占めていることを示している。
このなかで、秋篠宮一家は天皇ご一家に比べてノブレスオブリージュに欠けると批判している。しかし、ノブレスオブリージュの核心は公務への熱心な取り組みで、この点は秋篠宮家は模範的だが、天皇ご一家は雅子さまのご体調もあって仕方ないのだが、公務は平成時代より大幅に減っている。
ノブレスオブリージュとは、著者がいうような情緒的な気持ちとか、学習院の同窓会の活動に貢献しているかとかいうことではまったくないのであって、この人はひどい勘違いをしつつ誹謗中傷を繰り返している。
6. 秋篠宮家は贅沢なのか
秋篠宮家についての予算運用で無駄があるとか贅沢だとか批判されている。だが、政府専用機を使うのを嫌がり民間機を使うなど、秋篠宮殿下が節約を言われすぎるので、周囲が困っていることはあっても逆ではない。
個人的な生活についても、エリート外交官の家に生まれた雅子さまに比べて、紀子さまは大学教員の娘だから、はるかに質素である。天皇ご一家が、食事だとか、ショッピングで特別の扱いを受けられたとか、子どもたちの遊びを貸し切りでしたといって批判されるこてゃあるが、秋篠宮一家は、皇嗣殿下になられ、また、悠仁さまを将来の天皇らしく育てる立場なので、もう少し、高級な服飾や生活に興味を持っていただいてもいいような気がするくらいだ。
7. 新住居と佳子様別居
秋篠宮邸の工事費について無用だとか、佳子さまの｢別居｣で費用が増大したとか週刊誌が叩いているが、まったくの見当外れである。そもそも、陛下が皇居内の御所に入り、空いた東宮御所に皇嗣たる秋篠宮殿下ご一家が入るはずだったが、退位後の上皇ご夫妻が大人数のスタッフを維持されたことから、上皇ご夫妻のお住まいである仙洞御所に旧東宮御所を充てることになった。
それなら、新東宮御所というべき新皇嗣御所を建設する必要があったのだが、節約して従来の秋篠宮邸（元は秩父宮妃殿下の住居）を大改修して間に合わせ、しかも、予算を節減するために、眞子さま・紀子さまは、どうせ結婚するからと大改修後の建物に私室を設けず、仮寓所を使い続け、食事などは両殿下とともにされることにされた。
皇嗣殿下は皇太子時代の陛下に比べて酷く粗略な扱いを受けているのであって、贅沢とか無駄だというのはあり得ない批判だ。
また、自宅の工事中の仮住まいの部屋をそのまま使うことが｢別居｣だとか、無駄遣いといわれては佳子さまは気の毒だ。
8. 佳子様の結婚は
佳子さまは、自己主張がしっかりし、少し気が短く反抗的だが、その一方で、悠仁さまや愛子さまにとっては、お姉さんとして一目置かれる存在である。愛子さまにとっては、美しくしっかり自己主張できる佳子さまは、憧れのお姉様的存在だ。
立ち居振る舞いやファッションへの努力は相当なもので、美智子上皇后さまを彷彿する。新型コロナ渦が終わって、公務でも大活躍である。もう結婚されてもおかしくないが、愛子さまの単独公務開始のめどが立たず、2025年に悠仁さまの一連の成年行事を控え、さらに、眞子さまが帰国して参列できる環境ができた方がいいとか考えると、三年後くらいが目途かなという気もする。
9. 学習院を嫌う理由
秋篠宮批判の震源地であり、情報提供も盛んにしているのが、学習院の卒業生たちだ。これには、紀子さまへの妬みもあるだろうし、秋篠宮家に避けられたことによるブランド力の低下が深刻であることの表れでもある。
遠因は彼らによる上皇陛下と美智子さまとのご成婚批判にある。それでも美智子さまは、風当たりを避けるために学習院に三人の子どもを行かせ、陛下はたいへん大事にされて満足されたので、とても学習院を大事にされている。
秋篠宮殿下は兄に比べて扱いは悪かったし、母親への冷たい視線も感じる立場だったので、他の大学に行きたかったともいう。また、眞子さまや佳子さまも愛子さまとの差を感じさせられている。
そこで、眞子さまはICUに進学し、佳子さまはいったん文学部教育学科へ第一期生として進学されたが、一年半で退学してICUへ進まれた（この教育学科では当時、第二外国語は中国語か朝鮮語しか取れないという酷いところだった）。
さらに、愛子さまは小学校から欠席が多かったし、大学でも三年間、リモート講義だけで通学されなかったし、現在もゼミなどは行かれてるが、サークル活動などもされておらず、皇族の学校として失敗続きであって、悠仁さまをそんなところに行かせるわけには行くまい。
10. 悠仁さまの帝王教育
悠仁さまのお茶の水女子大附属幼稚園から中学も筑波大学附属高校は、男女共学であるし、筑波附属は美智子さまの父や弟の出身校でもある。警備という点でも、両校は同じ大塚署の管内で、すでに12年間の蓄積があり、いまさら学習院に行かれるより合理的だった。
悠仁さまは、中学校ではまんべんなく好成績だったし、筑波附属でも順調だ。ひ弱そうだとか猫背気味とか言う誹謗もあるが、明治天皇以来、歴代天皇も共通してそういう体型だが、みなさん筋力が強く頑健で何の問題もない。
大学は、専門科目より、高い一般教養を身につけられることと、国際感覚を身につけられ、また、レベルの高い学友を得られるところがよい。
帝王教育は、両殿下が丁寧に将来の天皇として教育されており、神武天皇陵や伊勢神宮など皇室ゆかりの地、あるいは沖縄などでの平和教育、さらにはブータン訪問など皇室外交などにも参加させているし、上皇陛下の指示で半藤一利氏を講師にして戦争の話を聞くなどということもされている。
残る課題は、天皇ないし皇太子の子として父の背中を見ての帝王教育ができないのだから、大学に入られたら一月になんどかは陛下と行動を主にしていただきたいものだ。
■
