貧乏になる中国人:中国人目当てのビジネスは曲がり角に

何が驚いたかと言えば、埼玉県の郵便局の立てこもり事件で人質になった20代の女性が解放された際、郵便局の自動ドアから出てきてなんと建物の中を向いて一礼したこと。ニュースを見ていて私は目が点になりました。ストックホルム症候群などという小難しい話というより親か学校で礼儀作法の教育を受けた癖ではないかと思うのです。いずれにせよ外国人が見たら腰を抜かすでしょう。まだこれが海外では拡散されていませんが、そうなればいろいろな尾ひれがついて話題になりそうです。

では今週のつぶやきをお送りします。

株式市場は明白な転換点に

今週のFOMCのパウエル議長の記者会見はいつものオウム返しながらも口調は自信に満ちたトーンではありませんでした。毎月観ているので氏の言葉尻以外の目線やうろたえなど違いが見えてしまうのです。市場は12月の利上げはないというより今回の利上げサイクルが終わったと解釈しています。金曜日に発表されたアメリカの10月度の雇用統計は事前予想を下回る15万人増に留まりました。自動車業界のストライキ分3.5万人分差し引かれているのでそこは間引かねばなりませんが、失業率も3.9%に悪化しています。

アメリカの株式市場は大賑わいで秋晴れ快晴といってよいでしょう。魔の10月もとりあえず過ぎ去り、市場への魔の爆弾は今は少なくとも封印されました。ある意味、景気が悪くなるかもしれない理由で株が上昇しているのですが、私もピンと来てこの1-2日で動いています。その作戦とは利が乗っている銘柄を売り、大きく下がった銘柄を手持ちの10倍買い増しする作戦です。時々やるのですが、これで平均買いコストを大きく引き下げ、株価が確実に反発する中で損失を解消させます。

ところでアメリカの住宅市場で取引価格の値上がりが続いています。日本の経済アナリストがアメリカの不動産は大きく下がると自信満々に述べていた頃、私は下がっても調整程度と申し上げました。アナリストが見落としたのは住宅ローンの金利をロックインさせて既存のローンの金利を安い状態で借り続ける選択肢がある点です。住宅市場の9割を占める中古住宅の所有者が引っ越してローンを借り換えると金利は7%越えなので今住んでいる住宅の低めのローン利率で我慢しているのです。すると中古市場に物件が出回らなくなり需給バランスが崩れ、薄い取引の中、価格が上昇するのです。世の中、いろいろなトリックがあるものです。

パウエルFRB議長 Board of Governors of the Federal Reserve System SNSより

消える株価乱高下の新興市場マザーズ

マザーズといえば新興市場の代名詞。22年4月の東証再編でマザーズ市場は消えたものの「東証マザーズ指数」はなぜか存続してきました。それも遂に11月6日に消え、市場からマザーズの名は無くなります。近年のそのチャートが物語るものは2000年代に入り、新興型企業の時代到来と若手の躍動でした。新しい世紀になり、バブル崩壊から10年という節目を経て、いよいよ世代交代かと思わせたのです。

実際にマザーズからはZOZO、メルカリ、そーせい、ペッパーフード、MonotaROと成長した銘柄も多く、大企業に歯をむき出しにして勝負に挑む勇ましさすらありました。当然ながらそこではテンバガー銘柄(株価が10倍になる銘柄)も現れましたが、指数だけで見るとライブドア事件がこの市場の全てであったと思います。問題が発する前である06年1月の指数は2800をつけていたものが08年10月には256まで落ち込むのです。指数が10分の1以下というのはいくら何でも無茶苦茶なのです。

この値動きの荒さがマザーズの人気離散につながりました。その後の指数も18年の1368をピークに下落に転じ、現在は660程度。日本はエンジェル投資家が少ないとされる中でマザーズの人気はそれらを側面支援する方法でした。しかし新興市場に対する不信感はバブル時代に株でやられた人に「またやられた!」と思わせました。次々と上場する横文字の社名は何の会社だかさっぱりわからず、何のための上場だったのかわからない会社も多かったと思います。その点では東証の生み出した失敗市場だったと思います。「日本人はお堅い投資がお好き」なのにテンバガーではなく持ち株の価格が10分の1になって泣かされた投資家を笑うのではなく、そのような企業を上場させてしまったことを反省すべきでしょう。

貧乏になる中国人

バンクーバーは中国人のメッカ。そしてコロナ前までは恥ずかしいほどブイブイいわせ、金に糸目をつけず、ブランド物でも最上級のモノだけが価値あるぐらいの勢いでした。私はバブル時代の申し子ですのでその姿に懐かしくも、またいつまでもつのかという懐疑心の混じった複雑な気持ちで眺めていました。息子や娘にベントレーやランボルギーニを買い与え、寿司屋では一人3万5千円のコースに群がり、一人2万円の飲茶に「まだ行っていないの?」というアホアホぶりに苦笑いすらしたものです。

ニュースでは中国への外資の直接投資が7-9月期に統計を取り始めてから初めてマイナスになったと報じられています。その額1兆7千億円。外国企業からすれば「危険、退散せよ!」なのでしょう。これは中国国内の経済を中長期的に圧迫するほか、中国からは富裕層が逃げ出すことになるでしょう。問題はどうやって資金を海外に持ち出すかですが、アングラ流通経路が発達した国だけに何らかの方法は常に見つけているようです。そのマネーの一部は日本の不動産に向かうとみていますが、一時の勢いある買いというより、消去法的購入とみています。

中国人の爆買いはすでに過去のものに? jaraku/iStock

中国人目当てのビジネスをやってきたカナダの企業、例えば中国人御用達だった「カナダグース」のダウンは売れず、株価は下げる一方。当地に雨後の筍のように出来た価格だけが高い高級風すし店に対して私は1年ぐらい前から「半分は無くなる」と申し上げています。ここからが本当の勝負どころでしょう。とはいえ、彼らが押し上げたカナダ経済は逞しかったと思います。そんな中、カナダはついにテクニカルリセッションとなりました。化けの皮が剥げたということですかね。

後記
ハロウィーンが終わったと思ったら街からクリスマスの音楽がちらほらと聞こえ、もうそんな時期になったのか、と思います。日本はこの時期にしては記録的な高温ですが当地は山に初冠雪、気温も早朝は1度ぐらいと冷えてきました。昨日は弁護士事務所のひと足どころか3足ぐらい早いシーズンのパーティ。この次のクリパは11月17日。出席する側としては12月第一週に集中するよりばらけてくれた方がはるかに助かります。久々にゆっくり堪能できたパーティーでした。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年11月4日の記事より転載させていただきました。