花粉症の舌下免疫療法ができない想定外の理由

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子供の頃からアレルギー体質で、社会人になってからは花粉症に悩まされてきました。

今までは、春先のスギ花粉のシーズンに抗アレルギー薬を飲んでやり過ごしていました。今年になって、舌下免疫療法が有効だというのを聞いて、やってみることにしました。

これは、毎日舌の下に薬を含んで、数年続けることで寛解を目指す治療法で、注射のような負荷が無いのがメリットです。

早速、クリニックに行ってアレルギーの血液検査を受けたのですが、想定外の状況に気が付きました。

それは、スギ花粉症の舌下免疫療法「シダキュア」のスターターキットが全国的に不足しているため、治療を開始できないことです。

花粉症シーズンの春先は、治療開始ができません。このまま年末まで薬不足が解消されないと、少なくとも来年の夏まで治療ができないことになってしまいます。

少し調べてみると、この薬の在庫不足と言うのは、花粉症の治療薬に限らず、広範囲の薬に広がっているようです。

そのきっかけとなったのは、どうやら福井県にあるジェネリック製薬会社の不祥事がきっかけのようです。

ずさんな製造管理が問題となり、行政処分などにより製造ができなくなる会社が続出し、シダキュアに限らず、市場に出回る薬の量が不十分になってしまったのです。

花粉症の治療であれば我慢できますが、もっと深刻な病気に必要な薬が不足しているなら大問題です。

世界一充実しているといわれる日本の医療制度ですが、その「終わりのはじまり」なのか?そう思ってしまうのは、日本の将来に悲観的な私の考えすぎでしょうか?


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年11月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。