秋の行政事業レビューが11月11日、12日に実施されている。雇用調整補助金の議論に僕も参加した。
コロナで休業を余儀なくされた事業者を支援するため、雇用調整助成金が利用された。アルバイトなど被保険者でない労働者を対象とする緊急雇用安定助成金も加えると、予算執行額は2000年度から2002年度にかけて合計6.4兆円に達した。財源である雇用安定資金残高は2019年度末には約1.5兆円もあったが、2000年度に枯渇し、一般会計が1.8兆円を負担した。
不正受給も相次ぎ、架空請求で逮捕者も出た。果たして、雇用調整助成金は効果があったのであろうか。実施の結果、どんな課題が抽出されたのだろうか。
僕は次のように発言した。
コロナの蔓延という緊急事態に際して迅速に支給するという必要性に照らせば、不正受給の発覚のみをもって施策の当否を判断することは適当ではない。今回の事業の教訓を基に次の緊急時に備えることがEBPMであり、PDCAである。
そのうえで、オンライン申請を基本とするべきと主張した。申請に法人番号やマイナンバーの記載を求め、すでに提出されている税務申告情報・社会保険情報等と照合すれば審査は迅速化するからだ。
マイナンバー法は限定的に定められた事務の範囲内で、マイナンバーが利用できるとしている。利用できる事務はマイナンバー法の別表にある。雇用調整助成金は別表にないから、マイナンバーは利用できない。しかし、真に手を差し伸べるべき者を見つけ対応しようする雇用調整助成金こそ、マイナンバーの対象ではないか。
この点について河野大臣に質問した。「別表への追加には法改正が必要だが、デジタル庁と厚生労働省でしっかり相談していきたい」との前向きの回答があった。
議論取りまとめの冒頭には「申請から支給まで原則デジタル化すべきで、マイナンバーの活用を含め、DX・AIを積極的に活用し、省人化したシステムを構築すべきである。」と記載された。今後の厚生労働省行政に反映される。
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マイナンバーの活用について、より積極的な方向に行政は動く必要がある。この点について、11月21日にICPFではシンポジウムを開催し議論する。平井卓也初代デジタル大臣にも登壇いただく予定である。どうぞ、皆様ご参加ください。