台湾有事は日本崩壊をもたらすかもしれない

80年近くの平和享受のツケ

つい最近、麻生副総裁が台湾を訪問した際に「戦う覚悟です」と演説の中で表明した。中国が台湾への侵攻を開始したら自衛隊は戦うのであろうか?

その前に問題となるのは、日本国民の士気の問題がある。筆者は国力とは「国民の力」だと考えている。どこまで国民が一丸となって戦う姿勢があるのかということである。

日本は戦後80年近く平和の中で暮らして来た国民である。民族闘争はなく、外国からの異民族の侵入もない。物資的にも豊かな生活をして来た国民である。

ところが、2017年から2020年の間に18歳以上の男女を対象に実施した「国の為に戦いますか?」という世論調査で「戦います」と答えた人は僅か13.2%しかいないという結果が出た。これは調査した79ヶ国で最低の率であった。しかも「戦わない」と回答した人は48.6%もいたというのである。

この調査が示すように、日本国民は自国の為に戦うことを拒否する人が多くいる中で、隣国台湾への支援に戦う姿勢を積極的に表明することはないであろう。だから台湾有事には国の世論は「戦う」と「戦争反対、和平交渉をしよう」と二分するであろう。実際、台湾の国民も日本が支援してくれると期待している人は2割弱だとされている。日本への期待は薄いということなのである。

戦後の進駐軍による洗脳教育

日本がどうしてこのように戦うことを拒否する姿勢が強いのであろうか。それは80年近く他国から侵略されたこともないし、その脅威を受けたこともないというのが根本的にある。そして戦後進駐軍による洗脳教育によって、日本を敗戦に導いたのは日本の軍部であるとし、進駐軍は正義の味方であるかのような教育をして来たのである。

原爆を投下したのも日本軍の残虐性が起因したものであるとした。そして、原爆の残虐な写真は公表を禁止した。また不当な東京裁判によって侵略戦争を行った日本軍の指導者を裁き、そのような日本軍を生み出し支援した日本国民に自虐意識を米国は植え付けたのである。だから、戦前の歴史を学校で教えることは嘗ての日本軍を蘇生させることに繋がるとして学校の歴史教育から消えた。

その一方で、日本人の戦争を起こしてしまったという罪意識が影響してか、原爆を投下した米国を恨み非難するということはなかった。これも進駐軍の洗脳教育による賜物である。そうすることによって強かった日本軍が再起しないように米国は企んだのである。

ところが、当時米国が予想しなかったのは、日本はその洗脳教育のトラウマに今も晒されているということ。そこから脱却していないのである。そして今、米国は中国に対峙すべく日本の協力を期待しているにもかかわらず、日本政府は支援するという姿勢を明確にしないのである。

更に問題は、台湾有事となった場合に「事態認定」という仕組みが存在してはいるが、自衛隊が武力の行使ができるのは飽くまで米軍を支援する段階での武力行使はできるが、自衛隊単独での武力行使はできないことになっている。

しかも、事態認定となった時点で首相が決断するのに迅速な判断ができるか疑問である。何しろ、80年余りこのような危険な事態を経験したことがない日本政府である。しかも、これまで謝罪外交しか知らない日本の政府だ。武力行使の決定をするのに勇断が下せるのか疑問である。

その勇断を下すにも、恐らく、中国は「日本が台湾を支援するのであれば中国から日本に核をぶち込むぞ」と恫喝するはずだ。それでも日本政府は断固たる姿勢をとることができるであろうか?

何れにせよ、中国も核を使用すれば自国も核の被害を被るようになると覚悟しているはず。中国が日本に核ミサイルを撃ち込んで、世界がそれを黙認するはずは絶対にない。米国は中国から核がぶち込まれる前に先に中国に核をぶち込むという可能性はある。

このようなことから結論として言えるのは、仮に中国が日本に核ミサイルを撃ち込めば、世界規模の核戦争を招くようになるというとは習主席も十分承知しているはずだ。

犠牲国になるのは台湾と日本か?

そのような恐れを考慮する米国が、中国と本気で戦う気があるのか疑問でもある。唯一、そこで犠牲国となるのは台湾と日本かもしれない。

日本列島が中国とロシアに分断されることを想定したことがあるであろうか。それは筆者の被害妄想狂かもしれない。そのようなことを考えるにつけ、日本政府そして国民はこれからも平和を維持して行くには何をすべきかということをより真剣に考えそれを行動に移して欲しいと願う。平和ボケからもういい加減に決別して欲しいと筆者は願う。