北海道のニセコと東京23区の共通点

東京23区の不動産が高騰しているのと同様に、北海道のニセコの不動産も価格が急上昇しています。

東京23区の中でも、特に山手線の内側にあるエリアや、都心3区と呼ばれる千代田区・港区・中央区の居住用マンションの値上がりが激しくなっています。

ニセコも電車が通っている倶知安駅の近くではなく、スキー場のゲレンデに近い場所が特に高騰しているのが特徴です。

ニセコと東京23区に共通するのは、海外からの資金が不動産マーケットに流れ込んでいることです。

東京23区の中心部は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポールといったグローバルシティーと比較されるエリアになっています。

相対比較すると、円安もあって海外から見ると、割安感が高まっています。

例えば、1ドル=80円の時は8000万円の物件が100万ドルでしたが、1ドル=160円になれば50万ドルと半値です。

円ベースで値上がりしても、海外から見れば決して高いとは言えないのです。

ニセコも同様です。世界的なスキーリゾートと遜色のない雪質を誇り、世界中の富裕層がウィンターシーズンに集まってきます。

スキー場の周りに、外資系のファンドが次々と土地を購入し、ホテルの開業を行っています。あのアマンもニセコに進出することが決まりました(写真)。

既に開業しているニセコのパークハイアットは、ハイシーズンは1泊25万円で、最低宿泊日数が3泊と言われています。さらに、食事やリフト代などを入れれば100万円を超える出費になってしまいます。

ニセコのドラッグストアでは、1本10万円を超えるフランスの高級ワインが当たり前のように売られています。

ほとんどの日本人には、いまや縁のない世界になってしまいました。

これまでは、日本の不動産は「東京23区か、それ以外か」だと思っていましたが、どうやら「ニセコか東京23区か、それ以外か」に修正したほうが良いようです。

この2つの地域では、日本人の売買よりも、外国人の売買によって価格形成が行われるようになってきています。だから国内の景気に関係なく、不動産価格が変動していくのです。

東京都心部とニセコの不動産が、これからどのような値動きをするのか、引き続き定点観測を続けようと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年11月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。