進展はあったのか?米中、日中首脳会談

大谷翔平サンのア・リーグMVP受賞のメディアの扱いは比較的さらっとしたものでしたが、今期の活躍は再び日本人に勇気を与えたと思います。2度目、かつ満票でアメリカ人ですら圧倒されたその才能は異能でもありますが、私は日本人のDNAだと思っています。人的な質を比べるのは難しいのですが、日本人が持つ努力、謙虚、粘りはアメリカ人には強くない特質です。「僕らにも出来る!」という自信を頂いたと思います。ありがとう、そしておめでとう、オオタニサン!

では今週のつぶやきをお送りします。

市場は年末ラリーに

7‐9月決算発表が終わり、目先の大きな予定もないことから市場の材料の吟味が進むとみています。キーポイントは24年金利動向、原油価格、年末商戦の行方が3大テーマになります。金利動向はチキンレースの様相も予想されますが、欧州が一番苦しいはずで24年半ばまでの利下げ開始がポイントになりそうです。アメリカも急激な利上げのあと、高金利が長く続くことはほとんどなく、過去の事例から長くても1年程度ですが、現在の経済状況と11月の大統領選を考えれば、景気の躍動感を演出するために6月前後の利下げはあり得るとみています。

原油の下落はOPEC+の意向を反して想定以上に下がったと思います。ただ、落ち着きどころを探しているのでしばし値動きは荒いと思います。景気の動向を素直に受けたものだとすれば原油価格の下落がそのバロメーターになります。個人的には需給を考えれば現在の75㌦程度が底だとは思います。そして最大の注目は既に始まった年末商戦ですが、聞こえてくる初期反応は鈍いです。特に高額商品が出ないので消費者の消費余力は相当下がっているものと見ています。

では最後に日本。来週は極めて注目すべきポイントになります。6月につけた日経平均33772円の高値に対して8月、9月と挑戦し、跳ね返されました。今回3度目の挑戦であとわずか200円強に迫っています。頑強なこの抵抗線を超えればその先は35000円程度まで跳ねる可能性があり、それこそ1か月後の掉尾の一振に繋がるかもしれません。日本株は悪くはないですが、濃淡が激しいので銘柄選びは慎重を期した方がよさそうです。明るい点はグロース市場に底打ちした気配があるのでこちらが盛り上がればボーナス戦線もあり、賑やかになるかもしれません。

進展はあったのか、米中、日中首脳会談

進展はあったと思います。何度も申し上げますが、国家間がどれだけ厳しい状況になっても政治レベルの対話だけは続けるのが国家としての使命です。それが切れると元に戻せなくなるため、対話を止める選択は愚の骨頂。その点からすれば習近平氏もバイデン氏も岸田氏も胃が痛くなるような会談をよくこなしたと思います。今回の三者をみるとどこも苦しい、よって、むしろこの会談は喉から手が出るほど欲しかったチャンスだったとみています。

しかし、どの国も自分が弱いとは見せられないのであくまでも強気。ちなみにバイデン氏が習氏のことを「独裁者」と言ったのはそれが事実だからでしょう。ニュースでは驚きをもって報じていましたが、権威主義の国家において当たり前のことで「何を今更」でしょう。中国が台湾の緊張はないと発言した点が注目です。1月の台湾の総統選では野党が統一候補にします。そのため、下馬評がひっくり返り、中国寄りの野党から総統が生まれる公算が高まっています。となれば中国は台湾を実力行使せず、抱き込む手段を取れるでしょう。

バイデン大統領と習近平国家主席 中国共産党新聞より

日中関係は改善するとみています。公明党の山口代表が来週から訪中しますし、高官レベルでの対話も再開しています。王毅外相も日中関係改善を提案しています。習氏は処理水問題で対日強硬政策を取ったものの中国国内が白けており、尖閣の時のような盛り上がりもなく、振り上げたこぶしが空回りの状態です。よって外交交渉を踏まえて来年のしかるべき時期に方針緩和する公算は大いにあると思います。ただ、日中間も表面の利害と本質的関係が別腹という難しさの中、日本も言うべきは言うという姿勢で臨むべきでしょう。

岸田首相と習近平国家主席 中国共産党新聞より

羽生結弦さんの離婚が物語るもの

羽生結弦さんの結婚ではありません。離婚です。8月4日に結婚して11月17日に離婚を決意したとSNSで発表しました。わずか3カ月。何が起きたか、それはご夫人に対するあらゆる口撃と精神的ダメージだったようです。そしてご夫人は外に出ることもできない中、必死に耐えてきましたが、ご夫婦にとってそれが健全な夫婦関係かと話し合ったのでしょう。あまりに厳しすぎる結末だと思います。羽生氏はスケーターとしての素質のみならず、マンガに描けるほどのバランスよい美貌とスタイルであらゆる女性ファンがフィギュアの羽生ではなく、男としての羽生に惚れてきたのです。

私どもがカナダで売っている羽生さんの関連書籍も結婚発表後、中国人女性の引き合いがなくなり、売れ行きはばたっと止まりました。この比較が正しいか分かりませんが、結婚した衝撃は眞子さまと小室圭さんのご結婚発表ぐらいでした。羽生さんのお相手は一般人、細かい素性は存じ上げませんが、外部からの口撃は熾烈なものだったと推測します。小室家は海外居住で警備もしっかりしており、比較的安全安心を確保できましたが、日本でそれを維持するのはとてつもなく困難です。それに耐えて行けるか、といえば愛だけでは乗り越えられない社会の複雑さがあります。

かつて芸能界は異次元で一般人が立ち行ってはいけない世界とされました。芸能人の結婚離婚は売名手段と言わんばかりでした。その芸能界もすっかり変わり、一般人とのご結婚も増えました。羽生さんは芸能人ではなく、スケーターなのだから普通の恋が出来ると思ったのでしょう。しかし有名人は芸能人と同様、常に見られている状態になり、叶わない恋が生まれたのもこれまた事実。ロミオとジュリエットのようなはかなさを感じます。人の幸せは平等ではないというのを改めて感じたニュースでした。

後記
先週から今週にかけてダラスにいた際、まともな食には一切ありつく時間がなかったのですが、帰りの日にChick-Fil-A(チックフィレイ)というチキンサンドウィッチチェーンとしてアメリカで2番目に大きく育った店に行けたのはありがたかったです。うまいし、飲み物はボトムレス、ポテトはワッフル型。価格はコンボで10ドル以下。経営者が南部バプテスト連盟の信者なので日曜日は休みというユニークさもあり、北米でも南部中心に展開していてなかなか食べられません。創業は1946年、隠れた名店のチェーンです。ビジネスモデルもなかなかユニーク。日本では展開しないだろうなぁ。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年11月18日の記事より転載させていただきました。