首相が頻繁に変わる国、イタリア:平均任期はおよそ400日

77年間で31人の首相、68回の内閣が誕生したイタリア

イタリアは日本と同じように首相が頻繁に代わる国だ。平均すると一人の首相の寿命は1年と少々しかないという。最近でも2011年から現在まで7人の首相で8回の内閣が誕生している。

1.マリオ・モンティ、2.エンリコ・レタ、3.マテオ・レンツィ、4.パオロ・ジェンティロニ、5.ジュセッペ・コンテ、6.マリオ・ドゥラギ、7.ジオルジア・メロニの7人の首相が誕生。ジェセッペ・コンテが1次と2次の内閣を誕生させたが、他の首相は7人目メロニ現首相を除いて1次内閣だけであった。

しかも、2、3、4の3人の首相は総選挙をせずして首相になっている。政党間の争いや一つの党内での内紛からこのような現象が起きるのである。

しかし、これだけ首相が頻繁に入れ替わると、一人の首相の寿命は1年と少々でしかな。そうなると、一人の首相の任期中に国家プランを設計して実行に移すことは不可能である。それが戦後のイタリアの成長を妨げている。これは最近の日本の政治と良く似ている。

この現象を避ける為にイタリアで再燃しているのが、首相を有権者が直接選ぶ公選制だ。日本では故人となった中曽根元首相が首相の公選制の必要性を説いていた。

メロニ現首相はそれを法案として検討を開始した。首相の任期を5年とし、安定政権を維持すべく公選された首相に55%の議席が帯同するというものである。

更に、この改正案では仮に首相が任期中に辞任した場合の後任は与党議員から選出されるというのが義務となっている。それでも後任者が見つからない場合には大統領が議会を解散して総選挙を決定することができるとしている。

この改正案を実施するには憲法の改正が必要であるが、その承認には3分の2の議席の賛成が必要で、それが達成されない場合は国民投票ということになる。

この改正案の中には、議会の解散権を首相の一任によるものとするという案件も含まれている。現在、議会の解散権は大統領が持っており、また首相の指名権ももっている。この改正案が可決した場合はこの二つの権利が大統領の手から首相に委ねられることになる。

尚、仮にこの改正案が承認されても、それが実施されるのはマッタレッラ大統領の任期が終了する2029年となる。

Meloni abre el debate sobre las reformas para dar estabilidad a Italia
Los italianos, desde 1946, han conocido 68 gobiernos. Uno de los problemas recurrentes que dificultan el desarrollo de políticas a largo plazo en este país es l...

公選制の実現は容易ではない

既に野党がこの公選制に反対を表明しており、この改正案が承認されるのは容易ではない。イタリアでは議員が所属政党を変えるのは頻繁に行われており、与党の安定性が欠けて内閣が容易に瓦解する。そこで首相が長期政権を維持できるように一定の任期の期間を決めた公選制しかないという結論に達している。

日本でも同様の問題を抱えているにもかかわらず、国会議員も国民もそれを解決しようとする動きがまったく生まれない。日本では国を良くして行こうという意思は国民の間にあっても、その実現に向けて行動を起こすということに積極性がないというのが問題だ。やはりこれも平和で物質的にも不自由のない生活ができる日本ではその必要性を切実に感じないようである。しかし、公選制にすれば世襲議員が首相になるのを避けることができるようになるかもしれない。