目黒だけど世界とつながっている感じのレストラン:Kabi

出口 里佐

出口里佐です。

本日は、目黒駅からバスで三つ目のレストラン、Kabiをご紹介します。目黒線の不動前からも行けないこともないですが、遠いです。帰りは最寄り駅までタクシーを覚悟しましょう。

Restaurant Kabi
日本、フランス、デンマークなど多様な文化によって創発された東京・目黒のレストラン。Restaurant at Meguro, Tokyo. The team of Shohei Yasuda, Kentaro Enomoto and Kiriko Nakamura will break your mold.

Kabiは、コロナ禍前に友人と2回訪れたことがありましたので、今回は3年ぶりくらいの3回目でした。最初は、オープンしたばかりの頃、2017年の料理通信で、発酵の料理が特徴の若いシェフによるレストランとして紹介されていて、とても興味を持って伺いました。

ガラス張りのエントランス。

目黒通り沿いの二階建て。

19時に、他のお客さん達も一緒に、ディナーは一斉スタートします。遅れてはいけないコンサートなどの劇場のような感じです。同じメニューを同じときにサービスされるので、あまりゆっくりのペースで食べると、次のお皿が来てしまうかもしれません。

メニュー

席は、カウンター、テーブル、個室がありますが、私は、キッチンの様子がよく見える、カウンターを毎回指定しています。

オーナーシェフの安田翔平さんは、国内の有名フランス料理店、大阪のラ・シーム(現在3つ星)、東京のティルプス(2019年閉店)で勤務の後、2015年にコペンハーゲンに渡り、一つ星レストラン、カドーでシェフを務めたそうです。もうひとりのオーナーで、ソムリエの江本賢太郎さんは、オーストラリアでワイン醸造を経験したのち、メルボルンのレストラン、ノラでマネージャーシェフソムリエを務めたそうです。

目の前で、お料理の準備しているのが見られます。

Kabiのカウンターに座っていると、Tシャツにエプロンをつけた若いキッチンスタッフ達が黙々と真剣に盛り付けや、最後の仕上げの火入れをしているのがみえます。シェフも含めて、手の空いた人が全員皿洗いもしているように見えました。腕の、タトゥーは本物なのでしょうか?音楽もさりげなく、新しくて、なんだか聞いたことがない感じ。この雰囲気、コペンハーゲンのStudioや、ニューヨークのMomofuku Koを思い出しました。お客さんは、半分以上、海外の方のようでした。ここは目黒だけど、世界とつながっている感じです。

最初のお皿は、蕪。白い蕪のベニエ(天ぷら)と茹でた蕪、赤いイクラが一番出汁のソースとともに登場。

自家製のノンアルコールドリンクは、その日の品揃えとしては5種類。ノンアルコールドリンクのペアリングコースもありましたが、私自身で、3種類、お料理をいただきながら選びました。

自家製ノンアルコール。全て、発酵や組み合わせに一工夫があって、美味しい!

最初にお願いしたのは、完熟梅の発酵シロップ、金木犀、高知県の黒茶、ホエイのドリンク。ホエイが全体を柔らかにまとめていて、蕪のお料理を引き立てていました。シェフがコペンハーゲンで学んだ、発酵がここでも使われていて、食材をストレートにではなく、変化させて提供しながら、食べた人の口のなかで、食材同士を美味しく感じさせる効果もあって、発酵って、すごいなと最初から感動しながらのスタートです。

クラフトビールも3種。ワインはもっとたくさんありました。

蕪とイクラ。

料理の二つ目は、牡蠣とキャベツ、カシスの葉に生牡蠣のマヨネーズ。牡蠣味のマヨネーズは旨味たっぷりで、キャベツをむしゃむしゃ。

牡蠣とキャベツ、生牡蠣のマヨネーズ。

ノンアルコールドリンクの二つ目。ロングペッパーを切り株のような台のうえで、着火して、ワイングラスを逆さまにして、その煙の香りを閉じ込めて、それに、あらかじめ、ビーツジュース、塩で発酵させたブルーベリージュース、砂糖で発酵させたカシスジュースと和紅茶がミックスされたものが注がれて提供されました。素晴らしい味です。ワインが飲めない私でも、お料理とのマリアージュを楽しめました。

ノンアルコールドリンクの香りつけのために、ロングペッパーに着火して、ワイングラスを逆さにして、先ず煙の香りを封じ込めます。

三つ目は、大根、赤大根、柿、コールラビを薄切りに、オリーブオイル、フロマージュブランのソース。「柿なます」とインスタでは紹介されていました。こんな薄い切りの野菜をちゃんと立たせるのって、ほんとうに繊細な作業だなあと思います。

大根、柿、オリーブオイル、フロマージュブラン。

四つ目、天然きのことホルモン。ホルモン(小腸)は食感のアクセントだとか。下処理も完璧で、脂っぽさはなく、柔らかな美味しさだけがきのことともに味わえました。

天然きのことホルモン、銀杏。

帆立とキャビア、レタス。白い泡は何だったかな。とにかく美味しかったことは、確か。

帆立とキャビア。

鯖と青しそ。鯖寿司のようでした。鯖寿司好きな夫は喜んでいた様。オレンジ色のお皿に緑色が映えます。

鯖寿司

炙った石鯛と春菊、椎茸に、魚の出汁、白味噌、発酵マッシュルームのソース。春菊の下には、茄子のピューレといぶりがっこが潜んでいます。茄子といぶりがっこの組み合わせも美味しかったですが、ソースが凛とした、思わず姿勢を正したくなるような味でした。

石鯛、白味噌、発酵マッシュルーム 、魚の出汁のソース。春菊の下には茄子のピューレといぶりがっこ。

漬物は、ニンジン、ビーツ、クリームチーズ、大根だったと思います。漬物の下にもソース。これもただの漬物ではない、手の込んだお料理ですね。

可愛らしい色彩の漬物。

ノンアルコールドリンクの三つ目。リンゴジュースとイチジクの葉を乾燥させたもの。こちらも、一工夫された奥深い味わいでした。

蝦夷鹿とケール、マルサラソース。肉用のナイフは、ローラン・ラニエという、珍しいブランドで、とても切れ味の良いものでした。こんなに切れるナイフは使ったことがなく、感動しました。

蝦夷鹿とマルサラソース。

切れ味抜群のローラン・ムニエの肉用ナイフ。

おじやは酸味のある野菜がアクセントで、さっぱりした味わい。

酸味が爽やかなおじや。

デザートはふたつ。リンゴのソルベとキーウィ。

リンゴのソルベとフルーツ

もうひとつは、和栗のモンブラン。金木犀のアイスとヘーゼルナッツの板のようなクッキー。金木犀のアイスは、食べたことのない驚きの美味しさ。

和栗のモンブラン、金木犀アイス、ヘーゼルナッツの板クッキー。金木犀アイスがびっくりするほど美味しい!

最後まで味わい尽くした、Kabiのディナーコース(16,000円税サービス別)でした。12月から18,000円(税サービス別)になるそうですので、今月中が、お値段的には、ねらい目かもしれません。ランチ(8,000円税別)は土曜日のみで、12時からやはり一斉スタートです。
ぜひ一度訪れてみてください。

Kabi