前回は極右認定されて苦悩するイギリスの人々について解説しました。これは2023年12月8日に発売になる私の新作書籍『世界のニュースを日本人は何も知らない5』でも解説しましたが、この様なジョークは実はそれは中流の人々の苦しい状況を反映した深刻な議論です。
イギリスは他の欧州各国と同じくここ10年ほどは海から押し寄せる難民や移民の増加に悩まされています。日本では実感がありませんが、難民申請者が一年に13万人も来たりするのです。町一個分の難民申請者が、人口が日本の半分の国に来てしまう。
当然宿舎も何も足りず税金も持ち出しになるので、地元への負担が大きいのです。
ところが事実として、各国にやってくる大量の偽難民は、到着後すぐにシェルターや政府借り上げのホテルに滞在できで、審査中は飲食無料で生活費まで出て、カウンセリングもあったりします。意外と恵まれています。
これはイタリアやギリシャも同じです。イギリスよりもっとお金がないし年金も少ないから皆生活が苦しい。ギリシャなぞ偽難民が大量にくるから観光客が来なくなったビーチや島があります。地元の商売への救済はない。でも不安を口にしたら「極右」。
また、これらの国にも高齢者や退役軍人、失業者が大量にいます。コロナ禍後は燃料高やひどいインフレなどで経済はかなり厳しく、福祉は削減ですから、なかなか公営住宅には入れなかったり、精神的な問題がある退役軍人、失業者などが支援を受けられないのです。
でも、ずっと税金を払ってきた失業者や高齢者、国に命を捧げて働いてきた退役軍人は、公営住宅に入れなかったり、生活保護がなかなか受けられなかったりしてホームレスになる人もいます。
国民年金はどの国も安くて日本と変わらない金額だったりします。
でも、物価ははるかに高い。
その現実がある中で、偽難民の健康で若い男性達は、政府の綺麗なシェルターに入り、借り上げた四つ星ホテルに長期滞在なのです。
イギリスは怒った高齢者たちがホテルを取り囲みました。でも、彼らは極右と呼ばれました。マスコミや活動家に。
こんな状況は事実なのに、各国でちょっと疑問を持った中道の人、かつてならリベラルと呼ばれた人々が、いまや極右呼ばわりされている。
税金の使われ方や公平性に少しでも疑問を持ったらそう呼ばれます。
何かがおかしいと思いませんか。民主主義なのにちょっとした意見の表明が封殺されてしまう。
さらに前回の極右チェックリストのトンカツ。ギャグっぽい感じで書きましたが、これ重要なのです。
なぜならイギリスはじめ欧州は宗教的少数派に配慮するあまり、伝統食では当たり前の素材である豚肉や牛肉などが出せなくなっている学校や会社が実際にあるからです。都市部ならそんな感じです。
最初は少数派への配慮だった。でも、その少数派の移民は今やもう地域によっては少数派ではなく、半分とか70%とかです。ですから地元の伝統はもう伝統ではなく、多数派の文化でもないのです。
その地域は元々の地元の食生活や習慣は消えつつある。
それに疑問を持ったり、指摘したら、差別主義者扱い、極右扱いされてしまいます。
地元の文化や食生活も大事にしたいという意見だって多様な意見の一つです。でもそれは完全に否定され尊重されない。
これもおかしな話ではないでしょうか。
そしてこれは多分日本でもおきます。給食からトンカツや牛丼、豚汁、ポークカレーが消えます。
宗教や習慣が異なる人が、日本国憲法や判例を元に訴訟を起こすからです。
差別はしてはならない、平等でなければならないという前提に従うなら宗教的少数派に配慮することが当たり前になるからです。
これは欧州で実際に起きたことです。
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