何故、今更?ホスト狂いになる理由:少子化問題の本質がそこにある

ホスト狂いと売春、最近時折目にするニュースです。若い女性がホストクラブにのめり込む、そして飲食代のみならず、ホストに貢ぐ、そのお金を稼ぐために売春をする、という流れがここにきて社会問題として顕在化しています。

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私は日本の地方都市にこのような「システム」が存在するのかまでは知らないのですが、ホストが一種の集金マシーン化しているわけです。かつては暴力団への上納が理由のボッタクリがありましたが、今のホストクラブは人気ホストが売り上げの半分程度を貰える仕組みです。客は御贔屓が店の売り上げや人気のランクを上げるために必死に通い、貢ぐというわけです。

なぜ今さら、この問題が浮上したのか考えてみたくなりました。

男性はかつてスナックやクラブ、あるいはキャバクラに快楽を求めました。私ももちろん数多く行きましたが、一度たりともご指名したいとか、隣に座らせたい人がいるという状況になったことがありません。そもそも自分では一切行かないのですが、人付き合いでどうしても行かざるを得ない極めて受動的理由で行っていたのが実態でした。

5年ぐらい前に付き合いで行ったある六本木のクラブからは未だに封書が時折届きます。「久しぶりにいらしてください」と。彼女たちの努力も大変なもので、収入も多いけれど髪のセットに衣装を含め、相当自腹を切って努力しているわけで、できれば財力のある「パパ」を確保したいのでしょう。

一方、客の立場からすると昔は社費でどうにかなったのです。それが今ではそこまで緩い会社は少なくなり、コアなファンか、個人事業主などお金が自由になる人が支えているのだと思いますが、飲んだくれるという行為そのものがもう流行りません。昔は楽しいことが少なかったので飲みに行くことで夜を何時間でも過ごせたのですが、そんな時代は30年前に終わっているので名残を楽しんでいる人たちかよほど好きな人達だけが行く世界になりつつあります。

では女性が開花したのは何故でしょうか?私が記憶する限りでは流行のはしりは池袋のコンセプトカフェ系だったと思います。20年ぐらい前からサンシャイン近くの乙女ロードを中心にメイドカフェの男性版、つまりイケメン男子が10代ぐらいの女性客を相手に酒ではなく、喫茶としてサービスする店が続々展開したのです。これが当時ブレイク。その客たちが成人になり、社会人になるにつれて女子が男子を見る目が変わってきたのです。いわゆる独占欲です。

ところで女子はなぜ、BL(Boys Love)に走るのでしょうか?私の見方は身近なリアルの男子からの現実感逃避だとみています。つまり、恋をしたい、だけどリアルの男は完全体ではないため、頭が理想を求め続けるのです。よってアニメなどを通じて過激なBLにはまります。それを現実化させるのがアイドルタレントなのですが、アイドルはあまりにも遠い存在で話などできません。故に「見るからに素敵な美男子」が「私の横に座り」「話をしてくれるのみならず」「怪しく優しい言葉を囁きかける」わけです。これは乙女心ならハマるでしょう。そして自分だけのものにしたい、です。

ではもう一つ、グサッと刺すなら私の見る限り、そちらの方面に走る人は妄想が強く、本当の恋愛などほとんどしたことがないか、恋愛を何らかの形で抑制しているのだとみています。社会の甘いも酸っぱいも経験がほぼないか何らかの事情でそれが許されないので理想に走る、そして自己破壊に突っ走るわけです。

これはハマる女子が悪いのか、と言えば社会の変質化がそもそもの問題だと考えています。つまり男は草食化し、自分の世界にのめり込み、男女交際なんて美しいものは「まっぴらゴメン」。どうなるかと言えば、彼氏のいない女子が溢れる、というわけです。なぜ、男子はそこまで淡泊になったかといえば楽しいことが沢山あり過ぎて女は二の次、三の次。だいたい、交際すると金と時間がかかる、という非常にネガティブな発想が前提に立ちはだかります。

男も私から見れば似たような動きがあります。メイドカフェに行き、アイドルを追いかけ、時としてストーカー行為などもあります。が、そのような男には恋愛がしたいとは思えないのです。場のノリであったりより表層的な快楽目的だったりするのですが、女子はメンタルにずっぽり入り込む恋愛なのです。そしてホストに疑似恋愛をして、自分が漫画の主人公になったような空想と現実の間をさまよう人がいるということではないかと思います。

そりゃ言い過ぎだろう、と思うかもしれません。が、私が言いたいのは私がこのブログでひつこく取り上げてきた少子化問題の本質がそこにある、という点なのです。なぜ子供が少ないのか、ではなくてなぜ恋愛をしないのか、これがそもそものポイントだということです。

この悪循環を断ち切る方法はあるのか、私には正直、わかりません。社会全体にまん延した一種のミーイズムだと思っています。これを修正するのは容易ではないでしょう。社会人としての制御が出来なくなった若者が増えていることに早めにメスを入れないと大変なことになると思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年11月23日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。