バルミューダが、「小型風力発電機開発」に乗り出す。
少ない電力でモーターを回す扇風機の羽構造を応用し、

バルミューダ プレスリリースより
「まずは収支バランスが取れた形での黒字化を最速で達成したい」
バルミューダ株式会社 2023年12月期 第3四半期決算説明資料「結果を出すのに5年、
10年といった長い時間軸の物差しを出すつもりはない。 もっとスピーディーに取り組むべきで、 きちんと結果を出すことができると考えている」(バルミューダ 寺尾玄社長)
バルミューダ社長「終えたスマホと、家電・風力発電を結ぶもの」:日経クロストレンド
このように述べるバルミューダは、やや前のめりに見える。
そんな余裕はあるのか。決算説明会で報告された今期見込みは、
粗利率15.9ポイント減
売上高はピーク時3割減の133億円。純利益は20億円の赤字。
特に問題なのが売上高総利益率(粗利率)だ。
ピーク時の「43.3%」から、15.9ポイント減少し「27.
粗利率を構成するのは、製品の「売上金額」と「原価金額」だけ。
これまで同社製品の付加価値が高かったのは、「ブランド」
「当社は『高級』『アート性が高い』『革新的』
とのブランド認知を持っている」
バルミューダ株式会社 2020年12月期決算説明会
バルミューダがこう述べたのは2年以上前のこと。
いまや、「アート(デザイン)、革新性」
優位性の喪失
先に例示した家電メーカー「ツインバード」は、「匠プレミアム」
匠プレミアムブランドから発売された「匠ブランジェトースター」
「一般的な家電の佇まいとは一線を画す、
と高い評価を得た。

GOOD DESIGN AWARD「 匠ブランジェトースター」より
「タイガー(タイガー魔法瓶株式会社)」は、今年2月、
「噴水のように美しい抽出の演出と、洗練されたデザイン」
と、

タイガー魔法瓶株式会プレスリリースより
高い技術力を持つ老舗メーカーが、「『高級感』溢れ『
新規事業は「ジャブ」から
21年度、バルミューダはスマートフォン事業に「必要な投資」
ボクシングをたしなむ寺尾社長ならわかるはず。
「最初からフルスイングは禁物」。
いきなり渾身の「右ストレート」を放ち、カウンターを食らい、
今期損失が予想通り20億円となれば、
寺尾社長は、
「この会社しばらく潰れないんじゃないかな、って思いました」
「やりたいことをするときが来たんじゃないかな」
今のバルミューダにそんな余裕はない。

筆者撮影
【参考】
ツインバード株式会社 決算書
スマホ参入で逆風のバルミューダ 「大化け」への条件|日本経済新聞