「自分はすごい人」と自慢する3つのデメリット

黒坂岳央です。

ネット上には「すごい人と思われたい人」で溢れかえっている。高級体験をしたらすかさず投稿したり、年収や資産を自慢する人たちである。これらはすべて欠乏する「承認欲求」を満たすための動機に立脚しており、次の仕事を呼び込むビジネスマーケティングやブランディングのために実績PRとは明確に目的が異なる。

もちろん、ビジネスではある程度実績がないと誰も話を聞いてくれないのは事実であり、積極的に実績は出していくべきだと思う。しかし、過剰な背伸びは逆効果になることは少なくないのだ。周囲に「自分はすごい人」と思わせるデメリットを無視するべきではないだろう。

独断と偏見による3つのデメリットを取り上げたい。

Khosrork /iStock

1. 期待外れの失望を招く

1つ目は「すごいと話題だったけど、見てみると思ったより大したことないな」といった期待外れ、失望を招く点にある。

YouTubeなどではこれが顕著で「トークがうまい」という理由だけで物知り専門家や業界の重鎮のように見せようとする人がいる。一般大衆がみればまるで優秀な専門家のように見えても、その道の専門家が見れば本来の実力はすぐにわかってしまう。知識、技術を口先トークだけではごまかすことはできず、下手に稚拙な自慢をしてしまえば「この人はその程度の力を誇らしいと思ってしまう下位ステージにいるんだな」などと思われてしまいかねない。

世の中にはいくらでも上には上がおり、よしんば世界一になったとしても必ず後世世代に追い抜かれる運命にあるため、あまりに自画自賛がすぎると「話題ほどの実力はない」と失望を招く結果になる。

2. 心の距離が離れる

「憧れは理解からもっとも遠い感情」という言葉通り、あまりに力量をPRして神格化されすぎるあまりにアイコン(象徴的な存在)になってしまい、見ている側から心理的距離が大きく開いてしまうということが起きる。

実例をあげると、成功した経営者や起業家が過去の困難な状況や失敗を見せず、常に成功体験だけを見せてしまうと、他の人たちはその人物に対して敬意を抱きつつも、自分とは違う世界に生きているといった感覚を抱きそれ以上の話が入らなくなってしまう。

さらに一度、神格化されておいてその後、妙な人間臭さが見えると今度はアイコンが崩れることが理由で人が離れる。なら最初から下手に神格化させないよう「自分は今でこそ実績は出ているが、途中にはいくつも困難や挫折もあった」と正直にダメな部分もさらけ出す方が良いだろう。

「まるで神のような存在に見えていたが、実は苦労を乗り越えた経験もある普通の人間なのだ」となれば、親近感も湧いて心の距離も縮まるだろう。人間が背伸びをして神様を演じてもろくなことはない。

3. 記録更新のプレッシャー

すごいと思われたい人ほど、詳細に実績を出し続けることをする。だがそうなると記録更新をし続けるプレッシャーを自らに課すことになる。世の中には過去の記録更新をし続けられる天才も一部にはいるが、多くはそうではない。プロの世界でも好調が続いてずっと右肩上がりなどではなく、誰しも必ずといっていいほどスランプや後退期があるものだ。

周囲に「自分はすごい」と吹聴してしまうと、短期的な記録更新が第一義的になってしまい、時には短期的な不調には目をつむり、長期で成功の種を育てるべき戦略を取れなくなってしまう。これではまるで常に株価優先で長期的なビジネス戦略をとれない企業のようである。

過去の自分との戦いを白日の下に晒す類のプレッシャーのかけ方は、必ずしも功を奏するとは限らない。目先の仕事を淡々とこなしながら、自分との戦いはあくまでクローズドな内面世界ですれば良いことである。

周囲から「すごい人と思われたい」と考えすぎると、目先の承認欲求欠乏症解消のための非合理的な行動をしたり、無用な批判を招きかねない。すごいと思われるかどうか?これはあくまで周囲の人間の評価に委ねられている。あくまでアンコントローラブルな要素と割り切り、こだわりを手放して日々のタスクを冷静にこなすのが良いのではないだろうか。

 

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